施工管理で「昔はこうだった」のベテランと合わない|老害と感じたときの付き合い方と見切り方

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ベテラン監督と合わないときは、「やり方」「言い方」「押し付け方」のどれが嫌なのかを分けると、打てる手が変わります。やり方の違いなら記録と段取りで折り合いがつけられます。人前でけなす、怒鳴るといった言い方は我慢しなくてよい領域です。押し付けが会社の体質になっているなら、見切る目安を決めておきます。
ベテランのやり方が古いと感じるのは、自分のわがまま?
建設業は、働く人の年齢の偏りが大きい業界です。総務省の労働力調査をもとにした国土交通省の資料では、建設業の就業者478万人(令和7年平均)のうち、55歳以上が36.6%、29歳以下は11.9%でした。現場で若手が少数派になるのは、数字の上でも自然なことです。
出典: 国土交通省「建設業を取り巻く状況等について」(総務省「労働力調査」をもとに作成) リンク
年齢の差が大きいと、前提になっている働き方も違います。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制がかかり、原則は月45時間・年360時間になりました。規制がなかった時代に現場を回してきた人と、規制の中で回す前提の人とで、段取りの考え方がずれるのは当然です。
電子小黒板やクラウドの写真管理、施工管理アプリのように、道具が変わったことも差を広げています。紙と電話で回してきたやり方を否定されると、ベテラン側も身構えます。合わないと感じること自体は、わがままではありません。問題は、そのずれをどう扱うかです。
もう一つ、ベテランの側にも事情があります。若手が少ない会社では、ベテランが定年近くまで現場の中心を担い続けています。教える時間も、仕事を渡す相手も足りません。「見て覚えろ」「昔はこうだった」は、教える余裕のなさの裏返しであることもあります。相手を変えるのは難しくても、どこまでなら付き合えるかを決める材料にはなります。
合わない場面は「やり方」「言い方」「押し付け方」に分かれる
ひとまとめに「老害」と呼ぶと、何をすればいいかが見えません。嫌だと感じた場面を、次の3つに振り分けてみてください。
「やり方」の違いは、工程や品質に関わる話なので、相手にも言い分があります。たとえば写真の撮り方にうるさいベテランは、過去に検査で指摘を受けた経験から言っていることもあります。理由を聞くと、残すべき手順と省ける手順が分かれてきます。
段取りの順番が違うだけで、どちらでも工期と品質が守れる場面もあります。そういうときは、自分が担当する範囲は自分の段取りで回し、ベテランが担当する範囲には口を出さない、と線を引くのも一つの方法です。全部を自分のやり方に寄せようとすると、ぶつかる回数が増えます。
「言い方」と「押し付け方」は、仕事の中身ではなく扱い方の問題です。こちらは段取りの工夫では変わりにくいので、別の手を考えます。
振り分けてみると、「やり方」の不満は意外に少なく、「言い方」がつらさの大半を占めていた、と気づくこともあります。その場合、やり方を合わせても気持ちは楽になりません。どの列が多いかで、次の章のどこから読むかを決めてください。
現場で角を立てずに自分の段取りを通す手順
やり方の違いで正面からぶつかると、現場の空気が悪くなり、職人にも伝わります。次の順で進めると、相手の顔を立てたまま自分の段取りに寄せられます。
- 理由を先に聞く:「この手順にしているのは、何か過去にあったからですか」と聞く。検査や事故の経験なら、その目的は残す
- 目的が同じ別のやり方を出す:「写真はアプリで黒板付きにすれば、撮り直しが減ります」のように、相手の目的に合わせて提案する
- 一部で試す:全部を変えず、1工種や1週間だけ試して結果を見せる
- 結果を数字で伝える:書類の作成時間や手戻りの件数で、どれだけ変わったかを伝える
相手が所長や工事主任なら、決める権限は向こうにあります。勝ち負けではなく、試した結果を材料に決めてもらう形にすると、次の提案も通りやすくなります。職人の前で意見を言うのは避け、現場事務所や移動中など、2人だけの場面を選ぶのも効きます。人前で否定されたと受け取られると、中身が正しくても通りません。工程を勝手に変えられたときの記録の残し方は所長のゴリ押しで残業が増えるときの記事で扱っています。
怒鳴る・人前でけなすのは、どこから我慢しなくていい?
職人の前で怒鳴る、朝礼で人格を否定する、質問すると無視する。こうした言動は、指導として必要な範囲を超えていれば、厚生労働省がパワハラの代表的な形として挙げる「精神的な攻撃」や「人間関係からの切り離し」に当たる可能性があります。パワハラの3要素と6類型は資格を取ったら嫌がらせを受けたときの記事で表にしています。
| 言動 | まずすること | 相談先 |
|---|---|---|
| 人前で人格を否定される | 日時・場所・言われた言葉を記録 | 社内のハラスメント相談窓口、人事 |
| 打合せや連絡から外される | 外された打合せと、その影響を記録 | 直属の上司の上の立場の人 |
| 休日出勤や長時間残業を当然とされる | 勤務時間を毎日記録 | 総合労働相談コーナー、労働基準監督署 |
出典: 厚生労働省「あかるい職場応援団 パワーハラスメント」 リンク / 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 リンク
どこからがパワハラかは、言葉の中身や回数、前後のやり取りで判断が変わります。自分で言い切ろうとせず、記録を持って相談してください。記録は、日時・場所・その場にいた人・言われた言葉の4つをそろえます。職長や協力会社の人がその場にいたなら、名前も書いておきます。1回の出来事より、同じことが何度も続いている記録の方が、相談先で状況が伝わります。眠れない日が続くなど体に出ているときは、先に医師にかかることを優先します。
見切りをつける目安を先に決めておく
ベテラン1人の問題なら、異動や現場替えで離れられることがあります。会社全体が同じ考え方なら、人が替わっても続きます。見分けるために、次の点を見ます。
| 見るところ | 様子を見てよい | 見切りを考える |
|---|---|---|
| 相談したときの上の反応 | 現場替えや注意をしてくれた | 「昔はもっときつかった」で終わる |
| 若手の残り方 | 入った人が数年は続いている | 同期や後輩が次々辞めている |
| 休みと残業の決め方 | 会社として現場閉所の日を決めている | 休むかどうかが所長の気分で決まる |
右の列が2つ以上当てはまるなら、相手が替わっても同じことが続く見込みが高いです。資格の受検や担当現場の区切りを考えながら、在職中に求人を見始める段取りに入ってください。辞める前に確かめることは施工管理を辞めたいと思ったときの記事にまとめています。
移り先を選ぶときは、面接で「現場の年齢構成」「若手の配属の仕方」「施工管理アプリなどの道具の使い方」を聞くと、社内の考え方が見えます。若手と中堅とベテランがそろっている会社では、教える役と現場を回す役が分かれていて、1人のベテランの考え方に現場全体が引っぱられにくくなります。施工管理の経験者に絞った相談先に、年齢構成や働き方の条件を伝えて求人を集める方法もあります。
見切りをつけると決めても、すぐに辞める必要はありません。今の現場の竣工や、施工管理技士の受検の時期と重ならないように、退職の時期を逆算します。ベテランとのやり取りで身につけた段取りや、工種ごとの注意点は、次の会社の面接で話せる経験にもなります。
よくある質問
- ベテランに「昔はこうだった」と言われ続けるのは我慢するしかない?
- やり方の話なら、理由を聞いて目的が同じ別の手順を出すと、折り合える部分が見つかります。人前でけなされるなど言い方の問題なら、記録して社内の窓口や上の立場の人に相談してください。
- ベテランのやり方の方が正しいこともある?
- あります。検査での指摘や事故の経験から決まった手順は、理由を聞くと残すべきものだと分かることが多いです。古いかどうかより、その手順の目的で判断すると話がこじれません。
- 上司が合わないだけで転職するのは早い?
- 上司1人の問題なら、異動や現場替えで離れられることがあります。上に相談しても変わらない、若手が続かないといった会社全体の傾向があるなら、早すぎるとは言えません。
- 若手が多い会社はどうやって探せばいい?
- 求人票の平均年齢や新卒・中途の採用実績、面接で現場の年齢構成を聞く方法があります。建設業界に絞った転職エージェントに条件として伝えると、社内の様子を確かめてもらえることもあります。
次にやること
- この1か月で合わなかった場面を書き出し、「やり方」「言い方」「押し付け方」に振り分ける
- やり方の違いは、理由を聞いて1工種だけ別のやり方を試す提案をする
- 言い方・押し付け方の記録がたまったら、社内の窓口に相談し、見切りの目安の表と照らす
セコカン転職マップ編集部
施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。



