所長のゴリ押しで残業が増える施工管理へ|工程を勝手に変えられたときの記録の残し方

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所長に工程を押し込まれて残業が増えるときは、指示を「いつ・誰から・何が変わり・何時間増えたか」で毎日記録してください。記録があれば、工程会議で根拠を持って話せますし、自分の残業が法律の上限の中かも確かめられます。建設業でも2024年4月から上限規制がかかり、原則は月45時間・年360時間です(厚生労働省)。
上限を超えている、残業代が払われていないといった疑いがあるときは、労働基準監督署や都道府県労働局の相談コーナー、社労士に相談してください。ここでは、自分を守る記録の残し方を中心に並べます。
所長のゴリ押しに逆らうのは、わがまま?
わがままではありません。所長が工程を詰めたがるのには、工期末、毎月の出来高、発注者への約束といった理由があります。一方で、品質・安全・設計の承認といった手順は、所長の都合だけで飛ばせるものではありません。
Xでは、設計の許可が出ずに延期した作業を所長が無理やりやらせて残業になった、という「所長のゴリ押し」の声も見かけます。承認を待たずに進めた作業は、後で設計から指摘が出れば手戻りになります。手戻りの残業を背負うのは、現場の担当者です。
ゴリ押しに困ったときに分けて考えたいのは、次の2つです。
| 所長の指示の中身 | 担当者が取れる動き |
|---|---|
| 工程を前倒しする、作業の順番を入れ替える | 指示には従い、増えた作業時間を記録する |
| 設計の承認や検査を待たずに進める | 承認待ちであることを書面やチャットで所長に伝え、判断を残す |
| 安全の手順(KY、作業手順書)を省いて急がせる | 作業を止めて所長に確かめる。安全は工程より先 |
| 終わらない量を定時後に回す | 残業の見込みを先に伝え、勤怠に実際の時間をつける |
上の2行は工程の判断なので、所長に決める権限があります。下の行に近づくほど、所長1人で決めてよい話ではなくなります。従うかどうかより、判断した人を記録に残すことが自分を守ります。
記録に残す5つのこと
記録は、後で自分以外の人が読んでも分かる形にします。毎日、次の5項目を1行ずつ書くだけで十分です。
| 項目 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 日時 | 指示を受けた日と時刻 | 10月20日 16時30分、現場事務所で |
| 指示した人 | 役職と名前 | 所長 ○○さん |
| 変わった内容 | 元の予定と、変わった後 | 4階スラブ打設を金曜から水曜へ前倒し |
| 理由として言われたこと | 所長の言葉のまま | 月末の出来高に間に合わせたい |
| 影響 | 残業の時間、検査・安全への影響 | 配筋検査の段取りで2日間、各3時間の残業。設計の承認待ちが1件 |
「理由として言われたこと」を所長の言葉のまま書くのは、後で工程会議や本社に説明するとき、自分の解釈と混ざらないようにするためです。感想や不満は書きません。起きたことだけを書くと、読んだ人が判断しやすくなります。
書く場所は、会社の作業日報でも、自分の手帳やスマホのメモでも構いません。会社の日報だけだと、異動や退職のときに手元に残らないことがあります。自分用の控えを別に持っておくと、相談先に持って行くときにも困りません。ただし、図面や発注者の情報など、社外に出してはいけない資料までは持ち出さないでください。
指示を受けた日から月末までの残し方
記録は、書くだけでなく相手に確かめておくと強くなります。指示を受けた日から月末まで、次の流れで残します。
いちばん効くのは「翌朝に相手に確かめる」です。「昨日のご指示、4階の打設を水曜に前倒し、配筋検査は火曜の午後で調整、という理解で合っていますか」と送れば、指示した人と日付が相手の返事つきで残ります。口頭の指示が、文字の記録に変わります。
勤怠は、会社のシステムに入れる時刻と自分の手帳の時刻をそろえます。厚生労働省のガイドラインは、会社に労働時間を適正に把握するよう求めていて、自己申告の場合も実態とずれていないかを確かめるよう定めています。実際より短くつけるよう言われた場合は、その日時と言われた内容も記録しておきます。
出典: 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 リンク
残業がどこまで増えたら違法になるの?
建設業は2024年4月から、時間外労働の上限規制の対象になりました。月末に、自分の記録を次の表と照らします。
| 区分 | 上限 |
|---|---|
| 原則 | 月45時間・年360時間 |
| 特別な事情で労使が合意した場合の年間 | 年720時間以内 |
| 同じく単月(休日労働を含む) | 月100時間未満 |
| 同じく複数月の平均(休日労働を含む) | 2〜6か月の平均がすべて80時間以内 |
| 月45時間を超えられる回数 | 年6か月まで |
出典: 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 リンク
災害の復旧・復興の事業では、単月100時間未満と複数月平均80時間以内の規制は適用されません。自分の会社の36協定でどこまで合意されているかは、会社に見せてもらえます。数え方の細かい点は月100時間の残業は違法かの記事、制度の全体は施工管理の2024年問題の記事で整理しています。
上限を超えていそうなとき、固定残業代を超えた分が払われていないときは、固定残業代の読み方も確かめたうえで、労働基準監督署や社労士に相談してください。違法かどうかの判断は、記録を見たうえで専門家がするものです。
記録を残したら、所長ににらまれない?
記録そのものは、所長を責める道具ではありません。工程会議で「この前倒しで配筋検査の段取りに2日かかりました。次は検査日を先に押さえたいです」と、次の工程の相談に使えば、所長にとっても役に立つ資料になります。
工程を詰める理由が発注者からの要求なら、所長も板挟みです。国土交通省の中央建設業審議会が示す「工期に関する基準」は2024年3月に改定され、残業規制を守れる工期にするよう発注者にも協力を求めています。記録があれば、所長が発注者や本社に工期の相談をするときの材料にもなります。
出典: 国土交通省「建設業を取り巻く状況等について」(建設業の働き方改革の取組) リンク
それでも記録をやめるよう言われる、勤怠を短くつけ直すよう言われるといった場合は、会社の中で解決するのは難しくなっています。本社の工事部や人事に相談し、動かなければ外の相談先を使います。
所長が変わらないときに、会社を変える目安
所長は現場ごとに替わることもあります。次の現場まで待てるか、会社ごと変えるかは、次の3つで考えると決めやすくなります。
| 見ること | 次の現場まで待てそう | 会社ごと変えるのを考える |
|---|---|---|
| ほかの所長の現場 | 所長によって工程の組み方も残業も違う | どの所長の現場でも、詰め方と残業の多さが同じ |
| 本社の動き | 相談すると、工期や人員を見直してもらえたことがある | 何度相談しても、工期も人員も変わらない |
| 自分の体 | 休みの日は現場のことを忘れて休める | 眠れない、休みの日も頭から離れない |
右の列が多いなら、所長個人ではなく、会社の受注の仕方や人の配り方の問題です。所長が替わっても、同じ工期で同じ人数なら、次の所長も同じように詰めることになります。
体に出ている場合は、転職の準備より先に医師にかかってください。休職できるかは就業規則で確かめられます。
当てはまるなら、同じ施工管理のまま、工期に余裕を持って受注する会社や、1つの現場に複数の担当を置く会社へ移る道があります。面接では、直近の現場の月平均の残業時間と、工程会議で担当者の意見がどう扱われるかを聞くと違いが見えます。建設業界に絞った転職エージェントに、残業の実績が分かる求人だけ出してもらう方法もあります。
よくある質問
- 所長の指示を断ったら、評価が下がりませんか?
- 工程の前倒しのように所長に決める権限がある指示は、従ったうえで影響を記録するのが現実的です。安全や設計の承認に関わる指示だけは、その場で止めて確かめます。評価が不当に下がったと感じたら、記録を持って本社に相談できます。
- 口頭でしか指示されません。記録って意味ある?
- あります。翌朝に「〜の理解で合っていますか」とチャットやメールで送れば、口頭の指示に日付と相手の返事がつきます。返事がなくても、送った記録は自分の側に残ります。
- 勤怠を実際より短くつけるよう言われたら、どうすればいい?
- 言われた日時と内容をメモし、自分の手帳には実際の時刻を書いておきます。会社には労働時間を適正に把握する責任があります。扱いに困ったら、労働基準監督署か総合労働相談コーナーに相談してください。
- 所長が苦手なだけで転職するのは、早すぎる?
- 所長が替われば落ち着くなら、次の現場を待つ手もあります。どの現場でも同じ詰め方なら、所長個人より会社の受注の仕方の問題です。その場合は、在職中に求人を見比べ始めておくと、次の判断が楽になります。
次にやること
- 今日から5項目の記録を作業日報か手帳につけ始める
- 次に口頭で指示を受けたら、翌朝「〜の理解で合っていますか」と送る
- 月末に残業時間を上限の表と照らし、超えていそうなら労働基準監督署か社労士に相談する
セコカン転職マップ編集部
施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。



