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施工管理の派遣で「9年間昇給ほぼ無し」 派遣元に聞くことと正社員に移る時に見る数字

セコカン転職マップ編集部

施工管理の派遣で「9年間昇給ほぼ無し」 派遣元に聞くことと正社員に移る時に見る数字

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派遣の施工管理で何年も昇給しないなら、まず派遣元に「自分の賃金をどう決めたか」の説明を求めてください。派遣元が選べる2つの方式のうち労使協定方式では、職務の内容・成果・能力・経験の向上を公正に評価して賃金を決めることが、協定の条件になっています(厚生労働省)。説明を求めたことを理由に不利益な扱いをすることも、労働者派遣法で禁じられています。説明を聞いても上がる見込みがないなら、9年分の給与明細を手元にそろえて、正社員の求人票と同じ物差しで比べるのが次の一手です。

「9年間昇給ほぼ無し」は、派遣だから仕方ない?

Xでは「9年間昇給ほぼ無し」という声も見かけます。賞与もなく、現場が変わっても時給はほぼ同じ。施工計画書も安全書類も任され、工程会議にも出ているのに、明細の数字だけが入社した年のまま、という状態です。

仕方ない、で片づける必要はありません。2020年4月から、派遣労働者の賃金は「派遣先の社員と比べて不合理な差がないか」か「派遣元の労使協定で決めた水準を満たすか」のどちらかで決めるよう、法律が変わっています。どちらの方式でも、派遣元には決め方を説明する義務があります。

一方で、派遣という働き方には昇給しにくい構造もあります。どこまでが法律で求められていて、どこからが会社の選択なのか。そこを分けて考えると、聞くべき相手と移るべきタイミングが見えてきます。

派遣の施工管理は、法律の上でどういう立場か

建設業務への労働者派遣は、労働者派遣法第4条で禁止されています。ただし厚労省の資料では、工程管理・品質管理・安全管理などを行う施工管理業務は「建設業務」にあたらず、派遣の対象になるとされています。施工管理の派遣が成り立っているのはこのためです。

同じ資料で、現場に専任で置く主任技術者・監理技術者は、請負業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある人でなければならず、派遣の対象にならないとされています。派遣のままでは、資格を取っても技術者として現場に名前が載る立場には就けません。昇給の理由になりやすい「代理人を任された」「監理技術者になった」という段階が、制度の上で用意されていないということです。

また、施工管理として派遣された人に資材の片付けなど作業をさせると、違法な派遣になるおそれがあると労働局は説明しています。現場で職人さんの手伝いを頼まれることが多いなら、そこも記録しておくと後で役に立ちます。

項目派遣(有期雇用)派遣(無期雇用)正社員(建設会社)
雇い主派遣元派遣元建設会社
同じ課で働ける期間原則3年まで期間の制限なし制限なし
主任技術者・監理技術者なれないなれない会社が選任すればなれる
賃金の決め方派遣先均等・均衡方式か労使協定方式会社の賃金規程

出典: 厚生労働省「派遣労働者として就業できない業務があります」 リンク/東京労働局「建設現場で必要な労働者派遣法の知識」 リンク/厚生労働省「平成27年労働者派遣法改正法の概要」 リンク

労使協定方式なら「経験の向上」を賃金に反映する決まりがある

労使協定方式は、派遣元が労働組合か労働者の過半数代表と協定を結び、その協定で賃金を決める方式です。厚労省の資料では、協定で次の2点を定めることが条件になっています。

  • 同じ種類の業務をする一般の労働者の平均的な賃金(厚労省が毎年示す額)と同等以上であること
  • 職務の内容・成果・能力・経験などの向上を公正に評価し、その結果を勘案して賃金を決めること

さらに、協定で決めた公正な評価に取り組んでいない場合などは労使協定方式が使えなくなり、派遣先の社員と比べる方式に切り替わる、と厚労省は説明しています。9年間ほぼ同じ金額なら、評価がどう行われて、その結果がなぜ据え置きだったのかを聞く理由は十分にあります。

労使協定方式で賃金が決まる流れ 1. 厚労省が毎年、職種別の平均賃金を示す 2. 派遣元が協定で同等以上の額を決める 3. 能力・経験の向上を評価して賃金に反映する 3が行われていないと、この方式は使えなくなる
図: 労使協定方式の賃金決定の流れ(厚労省資料をもとに作成)

出典: 厚生労働省「労働者派遣法第30条の4第1項の規定に基づく労使協定(イメージ)」 リンク/厚生労働省・都道府県労働局「派遣労働者の同一労働同一賃金 改正ポイントのご案内~令和8年10月1日施行~」 リンク

2026年10月から、派遣元に聞けることがはっきり書かれるようになった

2026年10月1日から、派遣法の施行規則や「同一労働同一賃金ガイドライン」が一部改正されました。施工管理の派遣で働く人に関係が深いのは次の2つです。

1つ目は、雇入れ時や派遣時に渡される明示書に「待遇の違いの内容・理由などについて説明を求めることができる」と書くことが必要になった点です。労使協定方式の場合は、賃金を決めるときに考慮した事項などを聞けると記載例に示されています。説明を求めたことを理由に解雇などの不利益な扱いをしてはならないとも、同じ資料に書かれています。

2つ目は、ガイドラインに具体例が足された点です。契約の更新を繰り返すなど続けて働くことが見込まれる派遣労働者には、派遣先の社員と同じ家族手当を支給する、夏季冬季休暇は通常の労働者と同じように与える、といった例が加わりました。ただし、これは主に派遣先の社員と比べる方式での考え方で、自分の契約にどう当てはまるかは、派遣元の説明と労働局の窓口で確かめる必要があります。

聞くときの言い方の例

「この9年、評価の結果が賃金にどう反映されたかを、協定のどの部分に沿って決めたのか説明してください」。口頭で聞いたら、説明に使った資料をもらえるか確認します。厚労省は資料の交付が望ましいとしています。

派遣元に説明を求める前に、手元でそろえる数字

説明を聞く前に、9年分の数字を表にしておくと話がずれません。工期末で忙しい時期に慌てて探すより、竣工後の落ち着いた週に一度まとめておく方が楽です。

そろえる物見る数字確かめたいこと
給与明細(毎年1枚ずつ)時給または月給、残業代の単価9年でいくら変わったか
雇入れ時・派遣時の明示書昇給・賞与・退職手当の有無「なし」と書かれていたか
就業条件明示書業務内容、派遣先、期間施工管理以外の作業が入っていないか
資格の合格証取得した年取得後に賃金が変わったか
担当した現場の記録工事の種類・規模・役割任された範囲が広がったか

資格を取った年と賃金が変わった年を並べると、評価が反映されたかどうかが一目で分かります。1級を取っても金額が変わっていないなら、その理由を聞くのが筋です。説明が納得できない、または派遣元が説明に応じないときは、都道府県労働局の派遣を担当する窓口(需給調整事業の担当)に相談できます。未払いの残業代など賃金の支払いそのものの問題は労働基準監督署、契約の細かい読み方は社労士に確かめてください。

正社員に移るなら、求人票で比べるのはこの5つ

派遣元の説明を聞いても上がる見込みがない、または技術者として現場に名前を載せたい。そう決めたら、正社員の求人票を派遣の明細と同じ物差しで並べます。月給の数字だけを見ると、賞与や手当がない派遣の方が高く見えることがあるためです。

同じ物差しで比べる5項目 今の派遣(明細・明示書) 正社員の求人票 時給×年間の所定労働時間 基本給×12か月 賞与:なし/あり 賞与:前年度の実績で何か月分か 資格を取った後の変化 資格手当の金額 昇給:9年の実績 昇給:年何回・評価の仕組み 退職手当:なし/あり 退職金制度の有無
図: 派遣の明細と正社員の求人票を並べるときの5項目

求人票に賞与が「あり」とだけ書かれている場合は、面接で前年度の実績を何か月分か聞きます。資格手当は、持っている資格の級で金額を確かめて計算します。資格と年収の関係は1級施工管理技士の年収と資格手当で、年収の上げ方全体は施工管理が年収を上げる方法で整理しています。

派遣で9年積んだ現場の数と種類は、正社員の面接ではそのまま職務経歴になります。工事の種類・規模・自分の担当範囲を、現場ごとに1行で書けるようにしておくと話が早く進みます。

派遣元に残る・無期雇用派遣・正社員、どれがいい?

どれが正解かは、何を一番取り戻したいかで変わります。下の表は、昇給・ポスト・現場の選び方の3点で並べたものです。

選び方向いている人確かめること
今の派遣元で交渉今の派遣先と働き方に不満が少ない評価の仕組みと、次の見直しの時期
無期雇用派遣に切り替え同じ派遣先で長く働きたい無期にした後の昇給・賞与の規程
他の派遣元に移る派遣のまま条件を上げたい協定の賃金表と評価の方法
建設会社の正社員代理人や監理技術者を目指したい資格手当・賞与実績・転勤の有無

有期雇用で同じ課に3年見込まれる派遣労働者には、派遣元が派遣先への直接雇用の依頼などの雇用安定措置をとる義務があります(厚労省)。今の派遣先で正社員になりたいなら、派遣元にその依頼をしてもらえるかを聞くのも一つの道です。面接で聞かれる内容は施工管理の面接でよく聞かれる質問にまとめています。

よくある質問

派遣元に「なんで給料上がらないの」って聞いたら、契約を切られない?
派遣元は、派遣労働者が待遇の説明を求めたことを理由に、解雇その他の不利益な扱いをしてはならないと労働者派遣法で決められています。それでも扱いが変わったと感じたら、日付と内容を記録して、都道府県労働局の派遣の窓口に相談してください。
施工管理の派遣って、そもそも違法じゃないの?
建設業務への派遣は禁止されていますが、工程・品質・安全を管理する施工管理業務は派遣の対象になると厚労省は説明しています。ただし、片付けなど作業そのものをさせると違法になるおそれがあります。
派遣のまま1級を取っても意味ある?
派遣のままでは主任技術者・監理技術者にはなれませんが、資格は正社員として移るときの条件交渉に使えます。取得後に派遣元の賃金が変わったかを確かめ、変わっていなければ理由の説明を求められます。
9年も派遣だと、正社員の面接で不利になる?
面接で見られるのは、どんな工事でどこまで任されたかです。工事の種類・規模・担当範囲を現場ごとに書き出しておくと、派遣だったことより経験の中身で話ができます。

次にやること

  1. 9年分の給与明細と明示書から、毎年の時給・賞与・資格を取った年を1枚の表にする
  2. 派遣元に、自分の賃金をどう決めたか、評価がどう反映されたかの説明を求め、資料をもらう
  3. 正社員の求人票を3社分集め、上の5項目で今の明細と並べて比べる

セコカン転職マップ編集部

施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。