夜勤と休日出勤でやっと人並みの給料…施工管理の残業代込みの年収を手当なしで比べ直す

この記事には広告(PR)が含まれることがあります。掲載している数字・内容は、広告の有無に関係なく公的データや公表資料をもとにしています。
夜勤と休日出勤を重ねて、残業代込みでやっと人並みの給料。そう感じるなら、残業代を外した「所定内給与」と、働いた時間で割った「1時間あたりの賃金」で比べ直すと、今の給料の実態が見えてきます。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、建設業の所定内給与(残業代を除く毎月の給与)は月36.63万円(平均45.5歳)です。残業が減れば給料も減る形は、2024年4月からの残業の上限規制で、この先ますます続けにくくなります。
出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」産業別にみた賃金 リンク
夜勤と休日出勤でやっと平均って、給料が安いだけ?
総支給の額だけを見ると、残業の多い月は人並みに見えます。問題は、その額のうちどれだけが「働いた時間を増やして得たお金」かです。Xでは「夜勤と休日出勤をして、残業代込みでやっと平均月収」という声も見かけます。施工管理の給与は、次のように分けて読むと中身が分かります。
| 給与の部分 | 中身 | 働く時間で変わるか |
|---|---|---|
| 基本給 | 毎月決まって出る土台 | 変わらない |
| 資格手当・役職手当 | 1級・2級や役職に付く手当 | 変わらない |
| 固定残業代 | 決まった時間分の残業代を前払い | 決まった時間までは変わらない |
| 時間外・休日・深夜の手当 | 実際に働いた時間に割増を付けた額 | 働くほど増える |
| 賞与 | 会社の業績や評価で決まる | 直接は変わらない |
上の3つ(基本給・資格手当・役職手当)が、残業がゼロの月でももらえる部分です。この部分が低く、残業・夜勤・休日の手当で総額を押し上げているなら、給料が安いというより「時間を売って平均に届かせている」状態です。
給与明細から「残業抜きの月給」を出す
まず、直近3か月の給与明細を並べて、残業が無くても出る部分と、働いた時間で増えた部分に分けます。
この例では、総支給は約34.6万円ですが、残業抜きの月給は24万円です。時間で増えた分が総支給の約3割を占めています。この割合が大きいほど、残業が減った月や、現場の間の手すきの月に給料が大きく下がります。
3か月分を並べると、月ごとの差も見えます。竣工前の月と、着工直後の月で総支給が5万円以上違うなら、家計は残業の多い月を前提に組まないほうが安全です。ボーナスの額も、残業代と同じく会社の業績で上下するので、残業抜きの月給×12を「確実にもらえる額」として控えておきます。
固定残業代がある場合は、その分も「時間で増えた分」の側に入れて考えます。何時間分でいくらかが分からないときは、固定残業代(みなし残業)の求人票の読み方で確かめ方を書いています。
1時間あたりの賃金で比べ直す
総支給の多い会社が、時間あたりでも高いとは限りません。月給制の場合、1時間あたりの賃金は「残業抜きの月給÷1か月の所定労働時間」で出します(月によって所定時間が違うなら1年の平均を使います)。残業の割増は、この単価をもとに計算されます。
| 働いた時間・日 | 割増の率 |
|---|---|
| 時間外労働(月60時間まで) | 25%以上 |
| 時間外労働(月60時間を超えた分。中小企業も2023年4月から) | 50%以上 |
| 法定休日の労働 | 35%以上 |
| 深夜(22時〜翌5時) | さらに25%以上を上乗せ |
出典: 長野労働局「労働条件ハンドブック」11 割増賃金(通常の労働時間の賃金、割増賃金の基礎となる賃金) リンク
上の明細の例(A社)と、残業の少ない会社(B社)を、総支給と1時間あたりで並べます。A社は所定168時間、時間外40時間(うち深夜10時間)、法定休日の出勤16時間。B社は残業抜きの月給29万円、所定160時間、時間外15時間とします。
B社は総支給が約2.2万円少ない代わりに、働く時間が月49時間短くなります。1時間あたりではB社が約2割高い計算です。今の会社と応募先を比べるときも、この形にそろえると「給料が下がる」のか「時間あたりは上がる」のかを分けて判断できます。
残業が減ったら給料も減るのが怖い
その不安はもっともです。ただ、残業代に頼る給料の形は、この先は伸びしろが小さくなります。2024年4月から建設業にも残業の上限規制が適用され、時間外労働は原則月45時間・年360時間まで、特別な事情があっても年720時間以内です。休日労働を含めて単月100時間未満、2〜6か月の平均80時間以内という線もあります。
出典: 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 リンク
会社が上限を守るほど、残業代で総支給を押し上げる余地は小さくなります。夜勤と休日出勤で平均に届かせている人ほど、残業抜きの月給を上げる方向へ切り替えると、収入が安定します。会社の側から見ても、月60時間を超える時間外労働の割増率は2023年4月から中小企業も50%以上になり、長い残業ほど人件費が重くなります。工程の組み直しや人の追加で残業を減らす会社が増えれば、残業代込みで支えてきた給料は、本人の意思と関係なく下がることがあります。残業や休日の手当が明細と合っていないと感じる場合は、勤怠の記録を持って労働基準監督署か社労士に確認してください。
今の会社で残業抜きの月給は上がる?
転職の前に、今の会社で上げられる部分があるかを確かめておくと、移るかどうかの判断がしやすくなります。給与のうち、本人の動きで変わりうるのは次の3つです。
| 上がる部分 | 確かめる場所 | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 資格手当 | 賃金規程の手当の表 | 「1級を取ると手当はいくらになりますか」 |
| 役職・等級の昇格 | 評価制度の資料、評価面談 | 「次の等級に上がる条件は何ですか」 |
| 基本給の昇給 | 過去の昇給の実績 | 「施工管理の昨年の昇給は平均いくらでしたか」 |
賃金規程は、会社が社員に見せることになっている就業規則の一部です。資格手当の表があれば、どの資格で月いくら上がるかがその場で分かります。手当の表が無い、昇格の条件が示されない、という会社では、残業抜きの月給を自分の努力で上げる道が見えにくいままです。その場合は、手当や等級が書面で決まっている会社へ移るほうが、上がり方の見通しが立ちます。
地方で資格を持っていても手取りが伸びない場合の考え方は田舎の施工管理は手取りが低い?で扱っています。
残業に頼らず年収を上げる道
残業抜きの月給を上げるには、基本給か資格手当の高い会社へ移るのが近道です。比べる相手の目安として、厚生労働省のjob tagに載っている年収があります。
| 職業(job tag) | 年収 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 建築施工管理技術者 | 679.1万円 | 43.4歳 |
| 土木施工管理技術者 | 625万円 | 46歳 |
出典: 厚生労働省 job tag「建築施工管理技術者」 リンク/「土木施工管理技術者」 リンク(令和7年賃金構造基本統計調査を加工した値)
この年収は残業代や賞与も含んだ全国の平均です。自分の年収と比べるときは、同じく残業代込みの源泉徴収票の額を使います。そのうえで、応募先とは「残業抜きの月給」と「賞与の実績(何か月分か)」で比べます。求人票に月給の幅しか書かれていない場合は、面接で「今の経験と資格だと、幅のどのあたりになりますか」と聞くと、自分の場合の額に近づけます。
- 1級・2級の資格手当が高い会社: 手当は残業がゼロの月でも出る
- 基本給の水準が高い会社: 賞与や残業の割増の土台も一緒に上がる
- 残業の少ない職場: 総支給は下がっても、時間あたりが上がる場合がある
資格手当の相場の調べ方は1級施工管理技士の年収と資格手当の相場の調べ方、条件交渉で使う数字のそろえ方は施工管理の年収アップ転職の手順にまとめています。資格を持っていれば、資格を軸に残業抜きの月給が上がる求人を探してもらう形もとれます。
よくある質問
- 残業代込みで年収が平均くらいなら、転職しても下がるだけ?
- 総支給だけで比べると下がって見えることがあります。残業抜きの月給と1時間あたりの賃金で比べると、時間あたりは上がる求人も見つかります。今の明細を3か月分、同じ形に分けてから比べてください。
- 夜勤の手当って、普通の残業代と何が違うの?
- 22時〜翌5時に働いた分には、時間外の割増に加えて、深夜の割増(25%以上)が上乗せされます。夜間工事の多い現場では、固定残業代に深夜分が含まれているかも求人票で確かめてください。
- 休日出勤の手当が平日の残業と同じ額なのはおかしい?
- 法定休日に働いた分は35%以上、それ以外の休日は週40時間を超えた分が時間外として25%以上です。どの休日が法定休日かは就業規則で決まるので、明細と照らして気になる場合は労働基準監督署か社労士に確認してください。
- 面接で「残業代を除いた月給」を聞いても失礼じゃない?
- 失礼にはあたりません。「固定残業代を除いた基本給と手当はいくらですか」「施工管理の人の昨年度の月平均の残業時間は何時間ですか」と数字で聞くと、比べやすい答えが返ってきます。
次にやること
- 直近3か月の給与明細を、残業抜きの月給と時間で増えた分に分ける
- 残業抜きの月給を月の所定労働時間で割り、1時間あたりの賃金を出す
- 気になる求人も同じ形にそろえ、総支給と1時間あたりの両方で比べる
セコカン転職マップ編集部
施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。



