年収

施工管理の年収アップ転職の手順|条件交渉で使う数字のそろえ方と計算例

セコカン転職マップ編集部

施工管理の年収アップ転職の手順|条件交渉で使う数字のそろえ方と計算例

この記事には広告(PR)が含まれることがあります。掲載している数字・内容は、広告の有無に関係なく公的データや公表資料をもとにしています。

施工管理が転職で年収を上げるには、今の年収と応募先の年収を「同じ物差し」にそろえてから比べ、交渉することです。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職して前職より賃金が増えた人は40.5%でしたが、1割以上減った人も21.7%いました(全産業の数字)。転職すれば上がるわけではなく、比べ方と伝え方で差がつきます。

この先では、数字の集め方から内定後の確かめ方までを5つの手順に分け、交渉で使う計算を例つきで並べます。

転職で年収が上がる人と下がる人の割合

雇用動向調査は、厚生労働省が事業所に聞いて、転職して入ってきた人の賃金が前の会社と比べてどう変わったかを集計している統計です。令和6年の1年間では、増加が40.5%、変わらないが28.4%、減少が29.4%でした。増加のうち「1割以上の増加」は29.4%です。

年齢で分けると、30代から40代後半までは増加が45〜46%台で並び、50代前半で39.0%、55〜59歳では27.4%に下がります。施工管理の転職で年齢が気になる人は、この数字を「50代後半からは上げるより下げない交渉が中心になる」という目安として使えます。

転職で賃金が増えた人・1割以上減った人 増加した割合 1割以上減少した割合 46.116.3 45.516.3 45.921.2 46.416.5 39.021.0 27.430.7 30〜34歳 35〜39歳 40〜44歳 45〜49歳 50〜54歳 55〜59歳 単位は%。全産業、令和6年の転職者
図: 年齢階級別に見た、転職で賃金が増えた人と1割以上減った人の割合

出典: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」3 転職入職者の状況(表6) PDF

この統計は全産業をまとめた数字で、施工管理だけを取り出したものではありません。それでも、同じ年代でも上がる人と下がる人が両方いる、という形は読み取れます。下がる側に入る原因の一つは、残業代込みの年収と、残業代を除いた年収を混ぜて比べてしまうことです。

年収を上げる5つの手順

手順は次の5つです。順番を入れ替えると、交渉の段階で根拠が足りなくなります。

年収を上げる5つの手順 12345 今の年収を4つに分ける 相場を公的データと求人票で集める 求人票の年収を同じ4つに直す 希望額と根拠を1枚にまとめる 内定後に労働条件通知書で確かめる 源泉徴収票・給与明細 job tag・求人3件以上 固定残業代・賞与の前提 資格・現場規模・役割 書面の金額と求人票を照合
図: 年収を上げる5つの手順と、それぞれで使う資料

手順1 今の年収を4つに分ける

源泉徴収票の「支払金額」が今の額面年収です。これを給与明細と見比べて、基本給・手当(資格手当・役職手当など)・残業代・賞与の4つに分けます。工期末に残業が集中した年は残業代が膨らむので、可能なら2年分を並べてください。

手順2 相場を集める

公的な相場は厚生労働省job tagで確かめられます。建築施工管理技術者の年収は679.1万円、土木施工管理技術者は625万円です(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)。ハローワーク求人の月額賃金の平均は、建築が34.2万円、土木が35.2万円でした(令和7年度)。そのうえで、応募を考える求人を3件以上集めます。職種ごとの数字の見方は施工管理技士の年収をjob tagで比べた記事にあります。

出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「建築施工管理技術者」「土木施工管理技術者」(2026年10月26日確認) 建築 / 土木

手順3から5

手順3の「求人票を同じ4つに直す」は、次の章で計算例を使って説明します。手順4と5は、交渉と内定後の確かめ方の章で扱います。

求人票の年収を同じ物差しにそろえる計算

求人票の「年収例 600万円」は、残業や賞与の前提が会社ごとに違います。比べるときは、残業代を除いた「基本給+手当+賞与」をそろえて並べます。下の図は、架空の数字で計算の形を示したものです。

計算例(架空の数字) 今の会社 応募先(求人票) 基本給 30万円×12360万 資格手当 1万円×1212万 賞与 基本給の4か月120万 残業代 月8万円×1296万 基本給 32万円×12384万 資格手当 2万円×1224万 賞与 基本給の4か月128万 固定残業代 月6万円×1272万 年収の合計588万 年収の合計608万 残業代を除くと492万 残業代を除くと536万 合計は20万円差、残業代を除くと44万円差 固定残業の時間を超えた分の支払いも確かめる
図: 今の会社と応募先の年収を4つに分けて比べる計算例(数字は説明用の架空の値)

この例では、合計だけを見ると20万円しか増えません。ところが残業代を除いて比べると44万円の差があり、応募先で残業が減っても年収は下がりにくいと読めます。逆に、合計が高く見えても、固定残業代が厚く基本給が低い求人は、残業を減らすと年収も減ります。

賞与は「基本給の何か月分か」と「前年の支給実績」を分けて聞いてください。求人票に「賞与年2回」としか書かれていない場合、実績を聞かないと計算に入れられません。固定残業代の読み方は固定残業代(みなし残業)の求人票の読み方に詳しく書いています。

そろえる項目今の会社で見る資料応募先で確かめること
基本給給与明細の基本給欄月給のうち手当を除いた額
手当資格手当・役職手当・現場手当の欄1級と2級で額が違うか、配置が条件か
賞与賞与明細(2年分)算定の月数と前年の支給実績
残業代給与明細の時間外手当固定残業代の時間と超過分の支払い

残業代に頼った年収は上限規制で目減りする

残業代を除いて比べる理由はもう一つあります。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、残業できる時間に法律の上限ができました。厚生労働省の説明どおりに並べると次のとおりです。

区分上限
原則月45時間・年360時間
特別な事情があり労使が合意した場合(特別条項)年720時間以内、単月100時間未満(休日労働を含む)、2〜6か月の平均80時間以内(休日労働を含む)
月45時間を超えられる回数年6か月まで

出典: 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 リンク

工期末に月80時間を超える残業が続いていた人は、今の会社にいても残業時間が減り、残業代も減っていく流れにあります。上の計算例で、今の会社の残業代96万円が上限規制で半分になれば、今の年収は48万円下がります。転職先と比べるときに「残業代を除いた年収」を物差しにしておくと、規制で残業が減ったあとの年収で比べられます。

一方で、残業時間が減っても工期が変わらなければ、仕事が詰まるだけになります。応募先で残業が少ないと聞いたら、工期の決め方や、現場1件あたりの技術者の人数もあわせて聞いてください。

希望額の根拠になる数字をそろえる

手順4では、希望する年収と、その根拠を1枚にまとめます。施工管理の場合、会社が年収を決めるときに見るのは、資格と、任されてきた現場の規模と役割です。次の3つを数字で書けるようにしておきます。

  • 資格: 1級・2級の種別、監理技術者資格者証の有無と登録業種
  • 現場の規模: 直近3件の請負金額、延床面積や工事の種類、工期
  • 役割: 現場代理人・監理技術者・主任技術者・担当者のどれだったか、部下や協力会社の数

令和7年2月1日からは、技術者を現場に専任で置く必要がある工事の請負代金が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)になりました。この金額を超える工事で専任の技術者を務めた経験は、応募先が「すぐ配置できる人」と判断する材料になります。資格手当の額を下調べする方法は1級施工管理技士の資格手当の調べ方にまとめています。

出典: 国土交通省 報道発表「建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します」 リンク

希望額の決め方

手順3で出した「残業代を除いた今の年収」を下限にします。そのうえで、応募先の求人票の範囲のうち、自分の資格と現場規模で届く位置を根拠と一緒に伝えます。下限を先に決めておくと、提示額を受けるかどうかをその場で判断できます。

条件交渉で伝える順番

年収の話は、面接の最初に切り出すより、仕事の中身と配置の見込みを聞いた後にする方が根拠を示しやすくなります。伝える順番は次のとおりです。

順番伝えること言い方の例
1今の年収の内訳「額面588万円のうち、残業代が96万円です」
2応募先で担える役割「4,500万円以上の現場で専任の主任技術者を3件務めました」
3希望額と下限「残業代を除いて500万円を下回らない条件を希望します」
4確かめたい前提「年収例は月何時間の残業を前提にした額でしょうか」

「今より上げてほしい」とだけ伝えるより、内訳と下限を数字で示す方が、会社は社内の給与テーブルに当てはめやすくなります。

自分で交渉するのが難しい場合は、転職エージェントが年収の交渉を受け持つこともあります。エージェントの種類と使い分けは施工管理の転職エージェントの選び方で比べています。

内定後に書面で確かめる項目

手順5は、内定のあとに受け取る労働条件通知書(または雇用契約書)の確認です。労働基準法では、賃金や労働時間などの条件を書面で示すことが会社に義務づけられています。2024年4月からは、就業場所と業務の「変更の範囲」も示す項目に加わりました。施工管理では、転勤や担当工事の種類が変わる可能性がここに書かれます。

  • 基本給・手当・固定残業代の金額と、固定残業代が何時間分か
  • 賞与の算定方法(書面に月数が書かれているか)
  • 就業場所の変更の範囲(全国転勤か、支店の範囲か)
  • 業務の変更の範囲(施工管理以外の業務に移る可能性)

面接で聞いた金額と書面の金額が違う場合は、入社を承諾する前に問い合わせてください。書面の内容が法律に合っているか判断がつかないときは、労働基準監督署や社会保険労務士に相談できます。

出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件 労働条件の明示」 リンク / 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 リンク

よくある質問

今の年収は面接でそのまま伝えるべきですか。
源泉徴収票の提出を求める会社もあるので、額面の数字は実際の値を伝えます。そのうえで「うち残業代がいくら」と内訳を添えると、残業の少ない会社でも年収を保てる条件を話し合いやすくなります。
同じ施工管理で、年収が上がりやすい転職先はありますか。
どの業態でも上がる人と下がる人がいます。1級資格を持っていて、応募先が配置できる技術者を探している場合は、資格手当や役職で上がりやすくなります。
提示額が希望より低かったら断るしかありませんか。
入社日や役職、資格手当の付け方で調整できる場合があります。手順4で決めた下限を下回るかどうかで判断し、下回るなら理由を添えて再提示をお願いできるかを聞いてください。

次にやること

  1. 源泉徴収票と給与明細を2年分出し、基本給・手当・賞与・残業代の4つに分けた表を作る
  2. 応募を考える求人を3件以上集め、同じ4つに直して「残業代を除いた年収」を横に並べる
  3. 直近3件の現場の請負金額・役割・工期を1枚に書き、希望額の下限と一緒に面接へ持っていく

セコカン転職マップ編集部

施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。