電気工事施工管理技士の年収|公的データの読み方と資格を転職で活かす道

この記事には広告(PR)が含まれることがあります。掲載している数字・内容は、広告の有無に関係なく公的データや公表資料をもとにしています。
電気工事施工管理技士の年収は、国の統計では単独の数字として出ていません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)で「電気工事」と検索しても、電気工事施工管理技術者の職業ページはなく、近い職業の建築施工管理技術者が年収679.1万円(令和7年賃金構造基本統計調査を加工した値)です。電気の年収は、資格で就ける立場(監理技術者・主任技術者)と、会社の規模・手当の付け方で差が出ます。
ここでは、使える公的データの範囲をはっきりさせたうえで、1級電気工事施工管理技士の合格者数、監理技術者が必要になる工事の金額、求人票の年収を内訳で比べる方法を順に並べます。
電気工事施工管理の年収を公的データで見るときの限界
job tagには、施工管理の職業として「建築施工管理技術者」と「土木施工管理技術者」のページがあります。建築施工管理技術者の別名には管工事施工管理技士や空調衛生設備施工管理技術者が含まれていますが、電気工事施工管理は別名にも入っていません(2026年10月26日に確認)。
そのため、電気工事施工管理の年収を「国の平均で○○万円」と言い切れる数字はありません。民間の求人サイトや資格学校の記事に出てくる平均値は、どの求人やどの回答者を集めた値かが記事ごとに違うので、このサイトでは使いません。参考として使えるのは、仕事の中身が近い建築・土木の施工管理の数字です。
| 項目 | 建築施工管理技術者 | 土木施工管理技術者 |
|---|---|---|
| 賃金(年収) | 679.1万円 | 625万円 |
| 平均年齢 | 43.4歳 | 46歳 |
| 労働時間(月) | 166時間 | 162時間 |
| 求人賃金(月額・令和7年度) | 34.2万円 | 35.2万円 |
| 有効求人倍率(令和7年度) | 8.62倍 | 15.74倍 |
出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「建築施工管理技術者」「土木施工管理技術者」(賃金・年齢・労働時間は令和7年賃金構造基本統計調査を加工、求人はハローワーク求人統計。2026年10月26日確認) 建築 / 土木
表の年収は残業代と賞与を含んだ値です。電気の施工管理でも、竣工前の受電や試運転の時期に残業が増える人は、年収のうち残業代の占める割合が大きくなります。年収の総額だけを比べると、残業が多い会社ほど高く見える点に気をつけてください。職種ごとの数字の読み方は施工管理技士の年収をjob tagで比べた記事にまとめています。
1級電気工事施工管理技士は毎年どれくらい増えているか
資格の値打ちは、持っている人の数とも関係します。1級電気工事施工管理技術検定の第二次検定(旧・実地試験)の合格者は、令和3年度から令和6年度まで4,000人台で推移し、令和7年度は6,607人に増えました。令和7年度の合格率は69.6%で、同じ年の1級建築(39.0%)より高い値です。
出典: 一般財団法人 建設業振興基金「1級電気工事施工管理技術検定 結果表」各年度 令和3年度 / 令和4年度 / 令和5年度 / 令和6年度 / 令和7年度
第一次検定の受検者も増えています。令和6年度から1級の第一次検定は19歳以上なら学歴や実務経験に関係なく受けられるようになり、1級電気の第一次検定の受検者は令和5年度の16,265人から令和6年度は23,927人、令和8年度は27,387人になりました。第一次検定に受かると「1級電気工事施工管理技士補」と名乗れます。
令和7年度の第二次検定の合格者を勤務先で見ると、建設業(電気)が79.6%、建設業(その他)が9.7%、官公庁が1.5%、電力会社と鉄道会社がそれぞれ1.0%でした。合格者の年齢は29歳以下が25.5%、30〜34歳が20.5%で、35歳未満が半分近くを占めます。若い1級合格者が増える分、30代後半より上の人は「資格がある」だけでなく、どんな現場を任されてきたかで比べられるようになります。
出典: 一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 第二次検定 実施結果」 PDF / 「令和8年度 第一次検定 実施結果」 PDF / 全国建設研修センター「受検資格の改正について」 リンク
資格が年収に効くのは「置ける技術者」になるから
会社が1級の人に手当を払うのは、建設業法で現場ごとに置く技術者を決められているからです。元請として下請に出す金額が一定以上の工事では、主任技術者ではなく監理技術者を置く必要があり、1級電気工事施工管理技士はその候補になります。さらに請負代金が一定以上の工事では、技術者をその現場に専任で置かなければなりません。
この金額は令和7年2月1日に見直されました。国土交通省の発表どおりに並べると次のとおりです(電気工事は「建築一式以外」の欄を見ます)。
| 決まりごと | 改正前 | 令和7年2月1日から |
|---|---|---|
| 特定建設業の許可・監理技術者が必要になる下請代金の合計 | 4,500万円以上 | 5,000万円以上 |
| 施工体制台帳の作成が必要になる下請代金の合計 | 4,500万円以上 | 5,000万円以上 |
| 技術者の専任が必要になる請負代金 | 4,000万円以上 | 4,500万円以上 |
出典: 国土交通省 報道発表「建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します」 リンク(建築一式工事・建築工事業の金額は別。この表は電気工事など建築一式以外の金額)
令和2年10月からは、監理技術者を補佐する人(1級技士補などが対象)を現場に専任で置けば、監理技術者が2つの現場まで兼ねられる仕組みもできました。会社から見ると、1級技士と1級技士補の両方を抱えていれば、受けられる工事が増えます。電気の施工管理で年収が上がりやすいのは、こうした「配置できる人」として数えられる立場になったときです。
出典: 国土交通省 関東地方整備局「監理技術者の兼務(特例監理技術者)について」 PDF。兼務できる条件の細かい部分は工事ごとに違うため、発注者や国土交通省の監理技術者制度運用マニュアルで確かめてください。
専任が必要な工事で監理技術者として現場に入るには、監理技術者資格者証の交付と、監理技術者講習の修了が求められます。転職の面接では、資格者証を持っているか、監理技術者として何件の現場に入ったかを聞かれることがあるので、手元の資格者証で有効期限と登録の業種を確かめておくと答えやすくなります。
電気工事業の会社は20年あまりで2割以上増えた
働き口の数を見る手がかりに、国土交通省の建設業許可業者数調査があります。電気工事業の許可を持つ業者は平成12年3月末の53,743業者から令和8年3月末の66,534業者へ23.8%増えました。同じ期間に建築工事業は37.8%、土木工事業は22.1%減っています。
出典: 国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について(令和7年度末)」調査結果(詳細)表-3 業種別許可業者数の推移 PDF
許可業者数は「人を雇っている会社の数」とは同じではありません。一人親方に近い小さな業者も含まれます。それでも、電気工事の許可を取る会社が増え続けている点は、電気の技術者を必要とする会社が減っていないことを示しています。
仕事の波にも電気ならではの特徴があります。国土交通省の資料に載っている地場ゼネコンへの聞き取りでは、「11月〜3月にかけて、主に電気工事への依頼が集中」という回答がありました。年度末の工期に電気の仕上げが重なりやすいということです。転職先を選ぶときは、公共工事の年度末に偏る会社か、民間の改修やメンテナンスで1年を通して仕事がある会社かを確かめると、繁忙期の残業の出方が読めます。
出典: 国土交通省「建設業を取り巻く状況等について」内「建設業における業務の繁閑に関する所感(地場ゼネコン)」 PDF
求人票の年収は4つに分けて比べる
電気の施工管理の求人票は、年収の幅が広く書かれていることが多く、上の金額だけを見ても比べられません。年収を「基本給」「資格手当」「残業代」「賞与」の4つに分けると、会社ごとの違いが見えてきます。
| 分ける項目 | 求人票・面接で確かめること | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 基本給 | 月給のうち手当を除いた額 | 賞与や退職金の計算のもとになる |
| 資格手当 | 1級・2級・電気工事士で額が分かれているか | 1級でも「監理技術者として配置したら」の条件付きの会社がある |
| 残業代 | 固定残業代の時間と、超えた分の支払い | 年収例が「月30時間残業した場合」などの前提で書かれている |
| 賞与 | 前年の支給実績(何か月分か) | 「年2回」だけで金額の根拠がない |
資格手当の相場は会社ごとに決められていて、公的な平均はありません。調べ方は1級施工管理技士の資格手当の調べ方に書いています。固定残業代が入っている求人の読み方は固定残業代の求人票の読み方を見てください。
比べるときの決まりごと
今の会社の源泉徴収票を4つに分けた数字と、応募先の求人票を同じ4つに分けた数字を、表で横に並べます。残業代を除いた「基本給+資格手当+賞与」で比べると、残業が減っても年収が保てるかが分かります。
電気の資格を転職で活かす3つの使い道
同じ電気の施工管理のまま会社を移る場合、行き先は大きく3つに分かれます。どれが合うかは、今の現場で何を担当してきたかで変わります。
電気のサブコンへ移る場合は、資格が配置の要件にそのまま使われるので、資格手当や役職に反映されやすい行き先です。そのぶん、1人で何現場を持つかで忙しさが大きく変わります。面接では「今、1人あたり何件の現場を担当していますか」と数で聞いてください。
設備管理会社や発注者側(建物の持ち主・管理会社の工事部門)は、自分で施工するのではなく、工事を発注して監理する立場です。改修工事を何件まとめて回してきたか、業者の見積もりを比べて査定した経験があるかが評価されます。
電力設備や鉄道電気の工事を中心にする会社は、線路や変電所など現場の条件が特殊で、夜間作業が入ることがあります。資格よりも、その分野の現場経験があるかで評価が決まりやすい行き先です。3つの違いは電気施工管理の転職先の記事でさらに細かく比べています。
資格を持っていて、手当や担当現場の数まで条件をそろえて比べたい場合は、施工管理の求人を扱う転職サービスに条件を伝えて求人を出してもらう方法もあります。
よくある質問
- 電気工事施工管理技士の平均年収は国の統計で分かりますか。
- 2026年10月26日時点で、厚生労働省job tagに電気工事施工管理だけの職業ページはなく、単独の平均年収は出ていません。近い職業として、建築施工管理技術者の679.1万円(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)を参考にできます。
- 2級から1級に上がると年収はいくら変わりますか。
- 公的な統計で2級と1級の年収差を示したものは見つかりませんでした。差が出るのは、会社の資格手当の額と、監理技術者として配置されるかどうかです。応募先の資格手当の規程を、1級と2級に分けて確かめてください。
- 1級の第一次検定だけ受かった「技士補」でも転職で評価されますか。
- 1級技士補は、監理技術者を補佐する人として現場に専任で置くことができ、その場合は監理技術者が2現場まで兼ねられます。会社にとって配置の幅が広がるので、求人票に「技士補可」と書かれていることがあります。手当の額は会社ごとに違います。
- 電気工事士の資格も年収に関係しますか。
- 電気工事士は電気工事の作業そのものをするための資格で、施工管理技士とは役割が違います。両方の手当を出す会社もあれば、施工管理技士だけの会社もあります。求人票の資格手当欄で、どの資格にいくら付くかを確かめてください。
次にやること
- 今の源泉徴収票と給与明細から、年収を基本給・資格手当・残業代・賞与の4つに分けて書き出す
- 監理技術者資格者証の有効期限と、監理技術者・主任技術者として入った現場の件数と請負金額をメモにまとめる
- 応募したい求人を3件選び、同じ4つの項目と「1人あたりの担当現場数」を面接で聞いて表に並べる
セコカン転職マップ編集部
施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。



