女性の施工管理は妊娠しても続けられる?産休・育休の給付条件と辞める時期の注意

この記事には広告(PR)が含まれることがあります。掲載している数字・内容は、広告の有無に関係なく公的データや公表資料をもとにしています。
女性の施工管理は、妊娠・出産のあとも続けられます。産前6週(多胎は14週)は請求すれば休め、産後8週は原則として働かせてはいけないと労働基準法で決まっています。一方で、雇用保険の育児休業給付は、育休を始める前の2年間に、賃金が出た日が11日以上ある月が12か月以上必要です。そのため、授かる前に辞めるか、残るか、転職するかで、受け取れる給付が変わります。
この記事は法令と公的資料をもとに制度を整理したもので、個別の受給や配置を判断するものではありません。給付の最終確認はハローワーク・加入している健康保険・社会保険労務士に、体調や作業ができるかどうかは主治医・産業医に相談してください。
妊娠したら施工管理は辞めるしかないの?
辞める必要はありません。法律が外すよう求めているのは、施工管理の仕事そのものではなく、高所や重量物などの一部の作業です。妊娠中の女性が請求すれば、会社は他の軽易な業務に移さなければなりません(労働基準法65条3項)。
妊娠中と産後1年以内の女性が請求すれば、時間外労働・休日労働・深夜業もさせられません(同66条)。躯体の打設日に夜まで残る、工期末に休日も出る、といった働き方は、請求すれば外せるということです。
妊娠や産休の請求・取得を理由にした解雇や不利益な扱いは、男女雇用機会均等法9条で禁止されています。妊娠中と出産後1年以内の解雇は、会社が「妊娠等が理由ではない」と証明しない限り無効です。
妊娠から子が2歳になるまでに使える主な制度を、時間の順に並べました。
出典: e-Gov法令検索「労働基準法」第65条・第66条 リンク/e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」第9条 リンク/厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」 リンク/全国健康保険協会「出産手当金について」 リンク・「出産育児一時金について」 リンク
産後8週の間でも、6週を過ぎて本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務なら働けます。
妊娠中・産後1年に外れる現場作業はどれ?
妊娠中に就かせてはいけない作業は、女性労働基準規則2条に24号まで並んでいます。現場に関係が深いものを抜き出しました。
| 作業(号) | 現場での例 | 妊娠中 | 産後1年以内 |
|---|---|---|---|
| 重量物(1号)断続30kg以上・継続20kg以上 | 資材の荷受けで手で運ぶ | 就かせない | 就かせない |
| 5t以上のクレーン等の運転(4号)・玉掛け(6号) | 揚重で自分が玉掛けをする(2人以上の補助作業は除く) | 就かせない | 申し出れば外れる |
| 土木建築用機械の運転(7号) | 自分で重機を動かす | 就かせない | 申し出れば外れる |
| 土砂崩壊のおそれ・深さ5m以上の地穴(13号) | 掘削底での床付け確認 | 就かせない | 対象外 |
| 高さ5m以上で墜落のおそれ(14号) | 足場上の検査、高所の立会い | 就かせない | 対象外 |
| 足場の組立て・解体・変更(15号) | 足場の盛り替えに加わる(地上の補助は除く) | 就かせない | 申し出れば外れる |
| 著しい暑熱(20号)・寒冷(22号) | 真夏の屋上、寒い時期の外部足場 | 就かせない | 申し出れば外れる |
| 有機溶剤等(18号)・強い振動(24号) | 溶剤を使う塗装・防水の場所、はつり作業 | 就かせない | 就かせない |
出典: e-Gov法令検索「女性労働基準規則」第2条 リンク(18号は「一定の業務」に限る。表は現場に関係が深い号の抜き出し)
足場上での配筋検査や、高さ5m以上の型枠・鉄骨の立会いは14号に当たりえます。資材の荷受けで、荷を手で何度も運ぶなら1号の重さに注意が要ります。寒い時期の外部足場が22号の「著しく寒冷な場所」に当たるかは、場所と時間で変わります。線引きは産業医・主治医・労働局に確かめてください。
一方、工程会議、施工計画書や安全書類の作成、協力会社との打ち合わせ、事務所での写真整理は、この列挙に入っていません。現場から全部離れるのではなく、当たる作業だけを別の人に回すという分け方ができます。どの検査を誰が代わるかは、週ごとの工程で所長と決めておくと回しやすくなります。
産後1年以内は扱いが変わります。13号と14号は対象外になり、重量物・有機溶剤・振動はそのまま禁止です。足場の組立てや寒冷な場所などは、本人が「従事しない」と申し出た場合に外れます。体の戻り方は人によるので、復帰前に産業医と話しておくと安心です。
育休の給付は「休む前の2年で12か月」が分かれ目
雇用保険の育児休業給付の要件は、育児休業を始めた日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることです。11日以上の月がない場合は、就業した時間数が80時間以上の月で数えます。
支給額は、休業開始時の賃金日額×支給日数×67%です。育休の開始から181日目以降は50%になり、上限額もあります。育休中は健康保険と厚生年金の保険料が、本人分も会社分も免除されます。
ここで問題になるのが、辞める時期と転職の間の空白です。3つの例で数え方を示します。
出典: 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」Q11・Q12・Q57・Q61・Q93 リンク/厚生労働省「育児休業等給付について」 リンク
厚労省のQ&Aでは、転職前に被保険者だった月も数える例が示されています(Q61)。ただし空白の期間に失業手当(基本手当)などの受給資格決定を受けていると、その前の期間はつなげて数えられません(Q93)。例2のように、前の会社で長く働いていても、数えられる月が新しい会社の分だけになることがあります。
辞める前に数えておくこと
給与明細を2年分並べ、賃金が出た日が11日以上ある月を数えます。次の会社までの空白の月数と、失業手当を申請するかもこの数に響きます。数え方が合っているかは、辞める前にハローワークで聞くのが確実です。
辞める・残る・転職するで、もらえるお金はどう変わる?
休む間のお金は、健康保険の出産手当金と雇用保険の育児休業給付の2本立てです。どちらも、その時の勤め先で受け取れるかが変わります。
| 選び方 | 出産手当金(健康保険) | 育児休業給付(雇用保険) | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 今の会社に残って産休・育休 | 休んで給与が出ない日が対象 | 2年で12か月あれば対象 | 外れる作業と配置換えを先に相談 |
| 産休の前に退職する | 条件を満たせば退職後も続く | 育休を取る勤め先がないため対象外 | 退職日に出勤すると継続給付が受けられない |
| 退職して数か月あけて転職 | 新しい会社の健康保険で確認 | 空白が長いと12か月がそろわないことがある | 失業手当の受給資格決定で前職分が数えられない |
| 空白なしで転職 | 新しい会社の健康保険で確認 | 前職の加入月も数える例がある | 入社1年未満は育休の対象外の会社がある |
出典: 全国健康保険協会「出産手当金について」 リンク/厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」 リンク/e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第6条 リンク
出産手当金は、出産の日(予定日より遅れたら予定日)以前42日(多胎は98日)から、出産の翌日以後56日目までのうち、会社を休んで給与が出なかった期間が対象です。1日あたりの額は、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均の30分の1の、さらに3分の2です。協会けんぽの計算例では「5,670円×2/3=3,780円」となっています。
産休の前に退職しても、出産手当金が続く場合があります。条件は3つで、退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あること(任意継続の期間は除く)、退職日に出産手当金を受けているか受けられる状態であること、退職日に出勤していないことです。引き継ぎで最終日だけ現場に出ると、条件から外れます。
出産育児一時金は、産科医療補償制度に加入している医療機関で在胎週数22週以降に出産した場合、1児につき50万円です。ゼネコンなどの自社の健保組合は付加給付など扱いが違うことがあるので、加入先に確かめてください。
転職してすぐ妊娠したら、育休は取れない?
転職直後の妊娠では、性格の違う2つの条件を別々に確かめる必要があります。1つは「会社が育休を認めるか」、もう1つは「雇用保険の給付が出るか」です。
会社は原則として、育児休業の申出を拒めません(育児・介護休業法6条)。ただし労使協定で「引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者」などを対象外にしている場合は、拒めることになっています。入社1年未満で育休に入りそうなら、この定めの有無を確かめます。給付の方は前の項の「2年で12か月」で決まります。
- 入社予定の会社に、入社1年未満を育休の対象外にする労使協定があるか
- 前職の最後の月から入社日まで、雇用保険に入っていない月が何か月あるか
- 空白の間に失業手当の申請をするか(受給資格決定を受けると前職分が数えられない)
面接でどう聞けば角が立たないかは、施工管理の面接で最後に聞く質問の選び方も参考になります。
続けやすい会社は、配置換えの実績で見分ける
続けられるかは会社の受け皿で決まります。監督が1人の現場では、足場上の検査を代わる人がいません。工務・積算など内勤の部署がある会社なら、軽易な業務への転換がしやすくなります。
現場以外の部署へ移る道は、施工管理から内勤・積算へ移るときの考え方で詳しく扱っています。会社全体の働き方の見分け方は、施工管理のホワイト企業の見分け方も合わせて読むと、求人票で見る所が絞れます。
| 会社に聞くこと | 分かること |
|---|---|
| 妊娠中の技術者を内勤・積算・工務に移した例はあるか | 軽易な業務への転換が実際に回るか |
| 1つの現場に監督を何人置くことが多いか | 高所の立会いや夜間の打設を代われる人がいるか |
| 入社1年未満を育休の対象外にする労使協定はあるか | 転職してすぐの妊娠でも育休を取れるか |
| 育休から現場や内勤に戻った人、時短で働く人はいるか | 復帰後の戻り先と働き方 |
| 加入している健康保険は協会けんぽか自社の健保組合か | 出産手当金などの付加給付の有無 |
「女性活躍」と書いてあっても、配置換えの実績がない会社もあります。言葉より、実際に移った人・戻った人の数を聞くと、答えの具体性で様子が見えてきます。
よくある質問
- つわりがひどくて現場に出られないとき、会社に何て頼めばいい?
- 妊娠中の女性は、他の軽易な業務への転換を請求できます(労働基準法65条3項)。「現場の巡回と立会いを外し、施工計画書や書類の作成に回してほしい」のように、外す作業と代わりの仕事を具体的に伝えると話が進みやすくなります。体調そのものは主治医に相談してください。
- 妊娠を伝えたら「現場は無理だから辞めたら」と言われた、これって大丈夫?
- 妊娠や産休の請求・取得を理由にした解雇や不利益な扱いは、男女雇用機会均等法9条で禁止されています。退職を迫られて困っているときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。言われた日時と内容はメモに残してください。
- 夫も育休を取ったら、何か上乗せはあるの?
- 2025年4月から出生後休業支援給付金があります。子の出生後8週間(産後休業をした場合は16週間)以内に本人が通算14日以上、配偶者も通算14日以上育休を取ると、休業開始時賃金日額×支給日数(28日まで)×13%が出ます。配偶者の要件には例外もあるので、ハローワークで確かめてください。
- 産休に入る前に辞めたら、出産手当金はもらえないの?
- 条件を満たせば、退職後も続けて受け取れます。退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日に出産手当金を受けているか受けられる状態で、退職日に出勤していないことが条件です。ただし育休の給付は、勤め先がないため対象になりません。
次にやること
- 給与明細を2年分並べ、賃金が出た日が11日以上ある月を数えて、育休の給付の条件に届くか確かめる
- 今の会社の就業規則と労使協定を開き、軽易な業務への転換・育休の対象外の定め・加入している健康保険を書き出す
- 辞める・転職するなら、時期と空白の月数を決める前に、ハローワークで12か月の数え方を確かめる
セコカン転職マップ編集部
施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。



