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「サブコンうざい」「工程が崩れて入れない」A工事とC工事のすれ違いを減らす段取り

セコカン転職マップ編集部

「サブコンうざい」「工程が崩れて入れない」A工事とC工事のすれ違いを減らす段取り

この記事には広告(PR)が含まれることがあります。掲載している数字・内容は、広告の有無に関係なく公的データや公表資料をもとにしています。

「サブコンがうざい」と感じるゼネコンの監督と、「ゼネコンの工程が崩れて入れない」と困る内装・設備の監督は、同じ1枚の工程表のずれを両側から見ています。すれ違いを減らすのに効くのは人柄や気合いではなく、工程表を決まった曜日に更新して配ること、取り合い(工事の境目の納まり)を現地で一緒に確かめること、入れる日と人数と変更をメールや議事録に残すこと、の3つです。前工程の遅れで後の業者の工期が足りなくなったのに変更の話し合いに応じないことは、国土交通省のガイドラインで建設業法違反になる例・おそれがある例として挙げられています。

この記事は契約や法律の判断をするものではありません。個別の契約の扱いで迷ったときは、会社の法務・工務部門や、各地方整備局の窓口、弁護士などの専門家に相談してください。

「サブコンうざい」と思ってしまうのは、監督の性格のせい?

竣工前の工程会議で、内装の担当が「その日は入れません」と言う。ゼネコンの監督から見ると、こちらは躯体も設備も追いかけているのに、また条件をつけてきた、と感じます。一方で内装・設備の側は、先月出た日程で職人さんを押さえ、材料も手配していました。前の工程がずれたせいで、押さえた人工(にんく。職人さん1人1日分の作業量)が空振りになります。

どちらも、自分の持ち場を守ろうとしているだけです。ぶつかる原因の多くは、同じ情報を同じ時点で持っていないことにあります。図1は、同じ「1週間の遅れ」が両側でどう見えるかを並べたものです。

同じ「1週間の遅れ」の見え方 ゼネコン監督の見え方 内装・設備側の見え方 ・竣工日は動かせない ・後の工程で詰めてほしい ・急に条件を出してくる ・現場に人が来ない →「サブコンうざい」になる ・押さえた職人が空振り ・残りの日数が短くなる ・変更の連絡が口頭だけ ・休日に出ても作業できない →「入れない」が積み重なる 工程表の「いつの版」を見ているかで食い違う
図: 工程の遅れは、元請側には「後で詰める話」、後工程には「日数が減る話」に見える

A工事とC工事、どこで話がずれる?

テナントが入る建物では、工事を「A工事・B工事・C工事」に分けることがあります。一般に、A工事はビルのオーナー側が発注して費用を持つ工事、C工事はテナント側が発注して費用を持つ工事で、B工事はその中間です。どこまでがどの工事かは、ビルごとの工事区分表と契約で決まります。新築ではゼネコンがA工事を進め、その後や途中から内装会社や設備会社がC工事に入る形がよく見られます。

発注者も契約も別なので、同じ現場にいても指示系統が二本になります。すれ違いが起きやすい場面と、確かめる物を表にまとめました。

場面ゼネコン側の言い分内装・設備側の言い分先に確かめる物
着工日のずれ躯体と仕上げが押している職人と材料をその日で押さえた最新の全体工程表と更新日
取り合いの納まり図面どおりに作った設備と天井がぶつかって什器が入らない総合図・施工図と現地の実測
搬入と揚重エレベーターは時間割で使う搬入日を急に変えられた搬入計画表と揚重の予約表
休日・夜間の作業休日に進めておいてほしい出ても前工程が終わっておらず作業できない作業可能な範囲の確認記録
追加・変更ついでにここもお願い口頭だけでは費用と日数が出せない変更の指示書・議事録・メール

表の右端は、どれも紙かデータで残るものです。言った・言わないの話を、いつの版の何を見ていたかの話に置き換えると、責める・責められるの空気が少し和らぎます。下請側で詰められやすい報告の場面は元請に詰められるサブコンの施工管理向けの記事でも整理しています。

「休日に出たのに入れない」を国のガイドラインはどう扱っている?

建設業法第19条の5は、注文者が「通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間」を工期とする請負契約を結ぶことを禁じています。同じ条の第2項では、建設業者(受注する側)も、そうした短すぎる工期で契約してはならないとされています。

国土交通省の「建設業法令遵守ガイドライン(元請負人と下請負人の関係に係る留意点)」第12版(令和8年1月)は、この条文が当初の契約だけでなく、工期の変更にも当てはまると説明しています。工程のずれに関係する部分を抜き出すと次のとおりです。

ガイドラインに挙がっている例ガイドラインでの扱い
前工程の遅れなど下請の責任でない理由で工期が足りないのに、工期の変更も人員増もせず、かなり短い工期になった第19条の5第1項に違反するおそれ
前工程の遅れなどで工期が足りず費用も増えたのに、元請が協議に応じず、書面で変更契約をしなかった第19条第2項に違反
時間外労働の上限規制を超える長時間労働を前提にした短い工期で下請契約を結んだ第19条の5第1項または第2項に違反

出典: e-Gov法令検索「建設業法」第19条の5・第20条の2 リンク/国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン(第12版)-元請負人と下請負人の関係に係る留意点-」(令和8年1月) リンク(いずれも2026年11月2日に確認)

ガイドラインは、工期が変わるときは、その工事に着手する前に変更の内容を書面にして取り交わす必要があるとも書いています。現場で「とりあえず進めて、精算は後で」が続くと、後工程の会社は日数とお金の両方で不利になります。

法律を持ち出して相手を責めても、工程は前に進みません。ゼネコンの監督も、自社の上と施主に挟まれています。条文やガイドラインは、自社の上司に「この遅れは書面で変更の話をした方がいい」と相談するときの根拠として使う方が、現場の関係を壊さずに済みます。元請側からの理不尽な扱いが続くときは、各地方整備局の「駆け込みホットライン」が法令違反の疑いの情報を受け付けています。

すれ違いを減らす段取り4ステップ

A工事とC工事の担当が同じ順番で動くと、ぶつかる回数が減ります。図2は、着工前から変更が出たときまでの流れです。

A工事とC工事をつなぐ4ステップ 1 工程表を決まった曜日に共有 更新日と版の番号を必ず入れて配る 2 取り合いを現地で一緒に確認 天井内・壁際・床の段差を実測して写真に残す 3 入れる日・範囲・人数を確定 搬入と揚重の予約まで同じ表に書く 4 変更が出たら着手前に書面 日数と費用への影響を議事録かメールで残す
図: 4の「変更の書面」がいちばん抜けやすい。工程会議の議事録に一行入れるだけでも残る

1. 工程表を決まった曜日に共有する

全体工程表が更新されても、後から入る業者に届くのは数日後、ということがよくあります。毎週何曜日に最新版を配るかを決め、表の隅に更新日と版の番号を入れます。内装・設備側は、自社の工程表の前提に「何月何日版の全体工程表に基づく」と書いておくと、ずれたときに話が早くなります。

2. 取り合いは図面より現地で確かめる

天井内でダクトと照明がぶつかる、壁際の配管で什器が数センチ入らない。こうした失敗は、総合図では納まっていても現地でずれていることから起きます。仕上げに入る前の現調(現地調査)を両社で一度行い、実測した寸法と写真を共有フォルダに入れておくと、後で「どちらの責任か」で揉める時間が短くなります。

3. 入れる日と範囲と人数を一枚にする

「来週から入れます」ではなく、「何日から何階の何工区、何人で、搬入は何時からエレベーター何号機」まで決めます。作業できる範囲が前工程の進み具合で変わる場合は、前日の夕方に可否を連絡する決まりを作ると、休日に職人さんを呼んだのに何もできない、という空振りを減らせます。

4. 変更は着手する前に文字で残す

工程会議で日程が変わったら、議事録に「変更前の日程・変更後の日程・理由・費用の扱いは別途協議」を一行入れます。正式な変更契約は会社同士の手続きなので、現場担当は記録を残して自社の工務や上司に上げるところまでが役目です。

ゼネコン側と内装・設備側、それぞれ明日からできること

立場によって打てる手は違います。どちらも、相手の会社の事情を一つ知るだけで、言い方が変わります。

  • ゼネコン側: 後工程の会社が何日前に職人さんを押さえる必要があるかを聞いておく。工程を動かすときは、その日数より前に伝える。休日作業をお願いするときは、作業できる範囲を写真つきで送る
  • 内装・設備側: 入れない理由を「前工程の何が終わっていないか」で具体的に伝える。代わりに入れる工区や日を一つ提案する。空振りが出た日は、日付・人数・理由を自社の記録に残す

ゼネコンとサブコンで忙しい時期や管理する範囲がどう違うかはゼネコンとサブコンの施工管理の違いに、サブコン側の働き方の負担はサブコンの施工管理が激務と言われる理由にまとめています。

段取りを変えても、毎回の工程のしわ寄せが自分の休日に来る会社もあります。その場合は、現場の関係より会社の受注の仕方や人員の配置に原因があることが多く、個人の工夫では限界があります。元請・サブコン・内装のどの立場で働くかを選び直すのも一つの手です。

よくある質問

ゼネコンの監督に「サブコンなんだから合わせて」と言われたら、従うしかないですか?
現場の段取りは話し合いで決めるものです。合わせられる範囲と、日数や人数が足りなくなる範囲を分けて伝え、足りない分は自社の上司や工務に上げてください。契約の変更が必要かどうかは会社同士で判断することになります。
休日に出たのに作業できなかった分は、どこかに請求できるんですか?
契約の中身によって変わるので、現場の判断では決められません。日付・人数・作業できなかった理由を記録し、自社の工務や営業に渡すところまでやっておくと、会社として話し合う材料になります。迷う場合は会社の法務部門や弁護士に確認してください。
A工事とC工事の境目が分からないときは、誰に聞けばいいですか?
ビルごとの工事区分表が基本です。現場に表がない場合は、テナント側の窓口(内装会社なら自社の営業や設計担当)を通して、ビル側に区分表を出してもらうよう頼みます。境目があいまいなまま進めると、仕上げの直前で「それはうちの工事ではない」が起きやすくなります。
ゼネコン側から見て、サブコンに嫌われにくい頼み方はありますか?
頼むときに、いつ・どこまで・なぜ急ぐのかを一緒に伝えることです。「明日入って」より「明日の午後から3階の東側だけ、天井の下地が終わっているので先行してほしい」の方が、相手は人と材料を手配しやすくなります。

次にやること

  1. 今の現場の全体工程表を開き、更新日と版の番号が入っているか確かめる。入っていなければ次の工程会議で入れてもらうよう頼む
  2. 相手側と食い違いやすい取り合いを3か所選び、仕上げ前に現地で一緒に実測する日を決める
  3. 今週の工程会議の議事録に、変更前と変更後の日程、理由を一行ずつ書き足して共有する

セコカン転職マップ編集部

施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。