ゼネコンとサブコンの施工管理の違い|働き方と年収を分けて比べる

この記事には広告(PR)が含まれることがあります。掲載している数字・内容は、広告の有無に関係なく公的データや公表資料をもとにしています。
ゼネコンの施工管理は元請として工事全体の工程・安全・品質・原価を見ます。サブコンの施工管理は、電気・空調・衛生などの担当工事を、元請の工程の中で納める立場です。年収を「ゼネコンかサブコンか」で分けた国の統計はありません。厚生労働省のjob tagでは、建築施工管理技術者(管工事施工管理技士なども含む)の年収は全国で679.1万円です(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)。
働き方の差は「どちらが楽か」よりも、忙しさが工程のどこに来るかの差として見ると、転職先を選びやすくなります。
立場の違いは契約の流れで決まる
建設工事は、建設業法で土木一式・建築一式の2つの一式工事と、27の専門工事の計29業種に分かれています。ゼネコンは主に一式工事を元請として受け、サブコンは電気工事・管工事などの専門工事を受けます。
民間の建築工事では、施主からゼネコンが一括で受け、設備工事をサブコンへ発注する形が多く見られます。公共工事では、電気設備・機械設備を建築とは別に発注する「分離発注」もあり、その場合は設備会社が元請になります。
出典: 国土交通省「建設業の許可とは」 リンク
仕事の中身を5つの項目で比べる
同じ「施工管理」でも、毎日向き合う相手と書類が違います。ゼネコンの担当者は朝礼で全職種の作業を調整し、施工計画書・安全書類・工程表を現場全体の単位で回します。サブコンの担当者は、ゼネコンの工程会議に出て自社の作業の段取りを決め、施工図・機器の承認図・試運転の記録を担当範囲で仕上げます。
| 項目 | ゼネコン(元請) | サブコン(設備・専門) |
|---|---|---|
| 管理する範囲 | 建物・構造物の全体 | 電気・空調・衛生など担当工事 |
| 主な調整相手 | 施主・設計者・全職種の協力会社 | 元請の担当者・自社の協力会社・メーカー |
| 主な書類 | 施工計画書、総合工程表、安全書類 | 施工図、機器承認図、試運転・測定記録 |
| 関係が深い資格 | 1級建築・1級土木施工管理技士 | 1級電気工事・1級管工事施工管理技士 |
| 竣工前の山 | 仕上げ・検査・手直し | 受電・試運転調整・官庁検査 |
1日の動き方の違い
ゼネコンの担当者の1日は、朝礼とKY活動の後、職種ごとの作業の段取りを確かめるところから始まります。日中は品質の検査、協力会社との打合せ、施主・設計者への報告が入り、夕方は翌日の作業調整と日報、安全書類の確認に回ります。現場全体の「今日」と「明日」を回すのが中心です。
サブコンの担当者は、同じ朝礼に出た後、自社の職人の作業場所と資材の搬入を確かめます。天井内や機械室で他職種と取り合う箇所を見て回り、施工図の修正や機器メーカーとの納期の調整をこなします。自社の工事を「元請の工程の中にどう入れるか」が中心で、工程会議で決まった日程に合わせて段取りを組み直す場面が多くなります。
資格の欄は「関係が深い」ものです。サブコンでも建築の1級を持つ人はいますし、ゼネコンの設備担当には電気・管工事の資格者がいます。
忙しくなる時期がずれている
働き方の差が一番はっきり出るのは、工程の中での忙しさの位置です。建築工事の設備は、躯体の間はスリーブやインサートの仕込みが中心です。天井内の配管・配線や機器の据付は仕上げに入ってから増え、受電・試運転・各種検査は竣工の直前に集まります。
前の工程が遅れても竣工日は動かないことが多いので、設備の作業期間が後ろで縮みやすくなります。サブコンが「竣工前がきつい」と言われる理由はここにあります。詳しくはサブコンの施工管理がきついと言われる理由で整理しています。
どちらが長時間になるかは、会社と現場で変わります。建設業全体では、年間の総実労働時間が1,972時間で、全産業より43時間長いと国土交通省がまとめています(毎月勤労統計調査、パートを除く一般労働者)。ゼネコンとサブコンを分けた公的な労働時間の数字はありません。
出典: 国土交通省「建設業を取り巻く状況等について」 リンク
年収は「区分」ではなく会社ごとに比べる
job tagの数字は職業ごとで、会社の区分では分かれていません。そこで、会社ごとの数字は有価証券報告書(上場企業が毎年出す書類)の「従業員の状況」で確かめます。従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与が載っています。
| 数字 | 値 | 何の数字か |
|---|---|---|
| 建築施工管理技術者の年収 | 679.1万円(平均43.4歳) | job tag。管工事施工管理技士などを含む職業の全国平均 |
| 土木施工管理技術者の年収 | 625万円(平均46歳) | job tag。全国平均 |
| 建設業の平均給与 | 590.3万円 | 国税庁。建設業で1年を通じて勤務した人全体(職種を問わない) |
| 鹿島建設の平均年間給与 | 1,245.4万円(平均41.2歳) | 2026年3月期の有価証券報告書。ゼネコン大手1社の全従業員の平均 |
| 高砂熱学工業の平均年間給与 | 1,245.7万円(平均41.5歳) | 2026年3月期の有価証券報告書。空調サブコン大手1社の全従業員の平均 |
出典: 厚生労働省 job tag「建築施工管理技術者」 リンク・「土木施工管理技術者」 リンク(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)/国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査結果について」(令和8年9月) リンク/鹿島建設「有価証券報告書 第129期」 リンク/高砂熱学工業「有価証券報告書(2026年3月期)」 リンク
大手同士で見ると、ゼネコンと設備サブコンの平均年間給与がほぼ同じ例があります。2社の数字は事務職・営業職も含めた全従業員の平均で、施工管理だけの額ではありません。「サブコンだから低い」「ゼネコンだから高い」とは言えず、会社の規模と業績で差がつくと見る方が実態に合います。
中堅・中小の会社では、有価証券報告書が出ていないことがほとんどです。その場合は、求人票の月給の幅と賞与の実績(何か月分か)、資格手当の額を集めて、年収を自分で組み立てます。ゼネコンとサブコンの求人を同じ形に書き直して並べると、区分ではなく会社ごとの差が見えてきます。
年収を比べるときの順番
1. job tagで職業の全国平均を見る 2. 候補の会社が上場していれば有価証券報告書の平均年間給与と平均年齢を見る 3. 求人票の月給・賞与・手当で自分の場合を計算する。資格別の数字は施工管理技士の年収で比べています。
移る方向で評価される経験が変わる
ゼネコンとサブコンの間の転職は、同じ現場で相手の仕事を見てきた分、仕事の中身を想像しやすい移り方です。ただし評価される経験は方向で違います。
資格の面では、建設業法で「指定建設業」とされる7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)は、監理技術者に1級の国家資格などが求められます。ゼネコンの大きな現場では1級建築・1級土木、設備サブコンの大きな現場では1級電気工事・1級管工事の施工管理技士が、それぞれ監理技術者の資格になります。令和7年度の1級第二次検定の合格者は、土木9,603人、建築7,091人、電気工事6,607人、管工事4,360人でした(国土交通省)。
出典: 国土交通省 技術検定の合格者数(令和7年度)の公表ページ リンク
移る先の分野の1級を持っていなくても応募はできますが、入社後に取る前提で話が進むことが多いので、受検資格を満たしているかは先に確かめておくと面接で答えやすくなります。
サブコンからゼネコンへ移る場合、最初の入口として「ゼネコンの設備担当(設備施工管理)」の募集を探す方法があります。設備の知識をそのまま使え、建築側の仕事は現場で覚えていけます。ゼネコンからサブコンへ移る場合は、総合工程を組んだ経験が設備会社の工程管理に生きます。
分野ごとの行き先は、電気施工管理の転職先と管工事施工管理の転職で比べています。
会社を比べるときに確かめる4項目
ゼネコンかサブコンかを決めても、働き方は会社で大きく違います。求人票と面接で、次の4つを数字で確かめます。
- 1人あたりの担当現場数と、竣工前に応援を出す仕組みがあるか
- 前年度の月平均残業時間と、年間休日の実績(求人票の記載との差)
- 4週8閉所の現場がどれくらいあるか(元請・施主の方針にも左右される)
- 固定残業代の有無と、何時間分か
残業時間や有給休暇取得率は、厚生労働省の「しょくばらぼ」で会社ごとに公表されている場合があります。固定残業代は、月給に何時間分の残業代が含まれているかを示す記載なので、実際の残業時間と並べて読みます。
ゼネコン・サブコン両方の求人を並べて比べたいときは、建設業界に絞った転職エージェントに条件を伝えて探してもらう方法もあります。
よくある質問
- サブコンはゼネコンより年収が低いのですか。
- 区分で比べた公的統計はありません。2026年3月期の有価証券報告書では、鹿島建設の平均年間給与が1,245.4万円、高砂熱学工業が1,245.7万円で、大手同士ではほぼ同じでした。どちらも全従業員の平均なので、施工管理の額は求人票で確かめてください。
- サブコンからゼネコンへの転職はできますか。
- できます。ゼネコンの設備担当の募集なら、設備の施工管理経験をそのまま評価してもらいやすくなります。建築の品質管理や安全管理は、移った後に現場で覚えることになります。
- どちらが残業が少ないですか。
- ゼネコンとサブコンを分けた公的な労働時間のデータはありません。サブコンは竣工前に作業が集中しやすく、ゼネコンは工期全体で調整の量が多い、という忙しさの位置の差があります。会社ごとの残業実績を数字で聞くのが確実です。
次にやること
- 今の現場で、自分の忙しさが工程のどこに集中しているかを書き出す
- 候補の会社が上場していれば、有価証券報告書の「従業員の状況」で平均年間給与と平均年齢を見る
- 求人票で担当現場数・残業実績・年間休日を確かめ、面接で数字を聞く
セコカン転職マップ編集部
施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。



