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施工管理のホワイト企業ランキングを信じる前に|順位の根拠を確かめる方法

セコカン転職マップ編集部

施工管理のホワイト企業ランキングを信じる前に|順位の根拠を確かめる方法

この記事には広告(PR)が含まれることがあります。掲載している数字・内容は、広告の有無に関係なく公的データや公表資料をもとにしています。

施工管理のホワイト企業ランキングは、どの数字を使い、誰を対象に数えたかで順位が入れ替わります。たとえば日建協(ゼネコン職員の労働組合)のアンケートでは、2021年11月の所定外労働の平均が42.9時間、外勤(現場)の人だけに絞ると59.2時間でした。同じ調査でも、対象者を変えるだけで月16時間以上の差が出ます。

ランキングを読むときは、順位より先に「何の数字で並べたか」を確かめる必要があります。以下では、ランキングに使われやすい数字の中身と、根拠を確かめる質問、自分の条件で並べ直す方法を書きます。

ランキングの順位は、使った数字で変わる

施工管理向けのランキングに使われる数字は、だいたい次の6種類です。それぞれ数えている範囲が違うので、同じ会社でも数字によって良く見えたり悪く見えたりします。

使われる数字出どころ数えている範囲・注意点
平均年間給与有価証券報告書提出会社の従業員全体。事務・営業も含み、賞与と残業代などの基準外賃金も入る
月の平均残業時間会社の公表全社平均か職種別か、管理職を含むかが会社ごとに違う
残業時間・評価の点数口コミサイト投稿した人の自己申告。投稿の時期と部署がそろっていない
年間休日求人票・採用ページ会社カレンダーの日数。現場が実際に閉所した日数とは別
有給休暇の取得率会社の公表・しょくばらぼ付与日数に対する取得日数の割合。付与日数の多い会社は率が下がりやすい
団体のアンケート日建協・日建連など会員・組合員の集計。個社の数字は出していない調査もある

出典: 日本建設業連合会「週休二日実現行動計画 2025年度上半期フォローアップ報告書」(個社の実績値は非公表と明記) リンク/厚生労働省 職場情報総合サイト「しょくばらぼ」 リンク

年間休日も注意が必要です。年間休日は会社カレンダーの上の日数なので、現場が実際に閉所した日数とは一致しません。年間休日が120日あっても、工期が詰まった現場では土曜に出ることがあります。休みでランキングを読むなら、年間休日より、閉所の実績や有給休暇の取得日数のほうが実態に近い数字です。

口コミサイトの数字は、投稿した人の部署と時期がそろっていません。件数が少ない会社の点数は、1〜2件の投稿で大きく動きます。

たとえば平均年間給与で並べたランキングは、残業代も含んだ額で比べています。残業が多い会社ほど給与が高く出ることもあるので、「給与が高い=ホワイト」とは読めません。施工管理の働きやすさを見たいなら、給与のランキングと残業・休みのランキングは分けて読む必要があります。

同じ会社でも、数字が食い違う理由

当編集部は2026年10月に、検索上位のランキング記事を見比べました。すると同じゼネコンの月平均残業が、ある記事では18.5時間、別の記事では25〜29時間と書かれていました。数字の出どころを書いていない記事も多く、どちらが正しいかは記事からは判断できません。

食い違いの理由は、ほとんどが「誰の・いつの・どう数えた数字か」の違いです。下の図は、日建協のアンケートで対象者を変えたときの差です。

対象者を変えると、残業の数字はこう変わる 回答者全体の平均 42.9時間 外勤(現場)だけ 59.2時間 数字が変わる3つの理由 誰の数字か 全社・施工管理・外勤 いつの数字か 年平均・特定の月・年度 どう数えたか 所定外か法定外か
図: 同じアンケートでも、外勤だけに絞ると月16.3時間多くなる(2021年11月分)

出典: 労働新聞社「外勤者で月60時間弱 残業理由の最多は書類 日建協」(2022年5月30日、日建協の時短アンケート2021年11月分) リンク。最新年の数字は日建協の公表資料で確かめてください

「いつの数字か」の違いも大きく影響します。2024年4月に建設事業へ上限規制が適用される前と後では、同じ会社でも残業の数字が変わっている可能性があります。2つの記事の数字が違うとき、片方が古い年の数字というだけのこともあるのです。

「どう数えたか」も見落とされがちです。所定外労働は会社が決めた所定労働時間を超えた分、法定外労働は法律の1日8時間・週40時間を超えた分です。所定労働時間が1日7時間45分の会社なら、同じ働き方でも所定外のほうが毎日15分多く数えられます。

施工管理の残業時間を統計ごとに並べた話は施工管理の残業時間は月何時間かで詳しく書いています。

順位の根拠を確かめる4つの質問

ランキング記事を開いたら、順位を見る前に次の4つを確かめてください。全部に答えが書いてある記事は多くありませんが、答えが少ない記事ほど順位を割り引いて読みます。

ランキングを読む前のチェックリスト 何の数字か(出典の名前と年度) 有価証券報告書か、会社の公表か、口コミか 誰の数字か(対象者) 全社員か、施工管理だけか、管理職を含むか どう順位を付けたか(項目と重さ) 給与・残業・休みのどれを何点にしたか いつの数字か(2024年4月の前か後か) 上限規制の適用前の数字は今と比べにくい
図: 4つのうち答えが書かれていない項目が多いほど、順位は割り引いて読む

4つ目の「いつの数字か」は、施工管理では特に大事な確認です。建設事業には2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されました(厚生労働省)。それより前の数字で並べたランキングは、今の働き方を表していない可能性があります。上限規制の中身は施工管理の残業上限(2024年4月〜)の整理にまとめています。

もう一つ見ておきたいのが、記事の「PR」「広告」の表示です。2023年10月から、広告であることを隠した宣伝(いわゆるステマ)は景品表示法の不当表示として規制されています。表示があること自体は問題ではありませんが、ランキングの上位に広告主の求人や会社が並んでいないかは、順位を読むときの手がかりになります。

3つ目の「どう順位を付けたか」が書かれていないランキングもあります。その場合、並び順は書いた人の判断です。順位よりも、記事の中で使われている数字と出典だけを拾って、自分で並べ直すほうが確かです。

ランキングに出てこない会社がある

ランキングに並ぶのは、数字を公表している会社と、口コミが多く集まる会社です。そのため、上場していない地場の会社や、設備会社、発注者側の会社は、働きやすくても名前が出にくくなります。

ランキングに出やすい ランキングに出にくい 上場している大手・準大手 口コミの投稿が多い会社 統合報告書で数字を出す会社 社名で検索される会社 数字が見えるので比べやすい 上場していない地場の建設会社 電気・管工事の設備会社 発注者支援・維持管理の会社 事業会社の建設・施設部門 経審・しょくばらぼ・面接で調べる
図: 名前が出にくい会社は、別の公表データで調べる

ランキングに出にくい会社が働きにくいわけではありません。設備会社や発注者支援の会社は、工期末の負担や夜間対応の決まり方が元請と違うので、残業の出方も違います。行き先ごとの違いは残業が少ない施工管理の職場の比較で比べています。

名前が出にくい会社にも、調べる手段はあります。公共工事を受ける建設業者なら、経営事項審査(経審)の結果が建設業情報管理センターで公表済み。えるぼし・くるみん・ユースエールなどの認定の評点も、そこで確かめられます。厚生労働省の「しょくばらぼ」に有給休暇の取得率や残業時間を登録している会社も、手がかりの一つです。

こうした公表データを使って会社を見分ける方法は、施工管理のホワイト企業の見分け方(5つの物差し)で詳しく書きました。設備会社とゼネコンの働き方の違いはゼネコンとサブコンの施工管理の違いが参考になります。

自分の条件で並べ直す

ランキングの順位は、書いた人が決めた重さで付いています。自分にとって大事なのが休みなら、休みの数字に重さを置いて並べ直したほうが役に立ちます。次の表は、並べ直すときの書き方の例です。

物差し重さ(例)書き込む数字比べる基準
4週8閉所の割合3会社の公表値、なければ面接で聞いた配属先の値日建連の建築57.4%・土木75.8%
有給休暇の取得率2会社の公表値・しょくばらぼ建設業の平均60.7%
施工管理職の月の残業3職種別の公表値、面接で聞いた繁忙月の値原則の上限45時間
年収2求人票の提示額(固定残業代を除いた額)今の年収

出典: 日本建設業連合会「週休二日実現行動計画 2025年度上半期フォローアップ報告書」 リンク/厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」 リンク/厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 リンク

表の「比べる基準」には、公的な数字や業界の調査を入れます。ランキング記事の数字をそのまま基準にすると、出どころの分からない数字どうしを比べることになるためです。基準になる数字が見つからない物差しは、今の会社の数字を基準にしても構いません。

重さは1〜3で十分です。迷ったら、今の会社で一番つらい点に3を付け、残りを1か2にします。基準より良ければ重さの分だけ点を足し、空欄は0点。空欄が多い会社は、面接で聞くことが多い会社として残しておきます。年収は固定残業代を除いた額で比べないと、残業の多い会社が上に来てしまう点に気を付けてください。

候補の会社を集める段階で、建設業界の求人を扱う転職エージェントに条件を伝えておくと、ランキングに出てこない会社の求人も見られます。

よくある質問

ランキングの上位の会社は、配属先も働きやすいですか。
会社全体の数字が良くても、現場ごとの差はあります。日建連の調査でも、4週8閉所以上の作業所は土木75.8%に対して建築57.4%と、工種で差がありました。配属予定の現場の閉所日数を面接で聞いてください。
口コミサイトの残業時間は参考になりますか。
投稿した人の自己申告なので、時期や部署がそろっていません。投稿の年が2024年4月より前か後か、投稿者の職種が施工管理かを確かめ、件数が少ないものは参考程度にとどめます。
平均年間給与が高い会社はホワイトですか。
有価証券報告書の平均年間給与には、賞与と残業代などの基準外賃金が含まれます。残業が多いと給与も高く出るので、給与だけで働きやすさは判断できません。残業・休みの数字と分けて見てください。
ランキングで1位の会社に応募してもいいですか。
応募すること自体は問題ありません。ただ、その順位が何の数字で付いたのかを確かめ、自分が困っている点(残業か、休みか)の数字が良いかを見てから応募すると、入社後の食い違いが減ります。面接では配属先の閉所日数と、施工管理職だけの残業時間を聞いてください。

次にやること

  1. 読んでいるランキング記事を4つの質問(何の・誰の・どう付けた・いつの数字か)で確かめる
  2. 記事の中の数字と出典だけを拾い、候補の会社を3〜4社に絞る
  3. 重さを付けた表に数字を書き込み、空欄を面接で聞く質問にする

セコカン転職マップ編集部

施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。