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発注者側の施工管理へ転職する道|発注者支援・CM会社・デベロッパーの違い

セコカン転職マップ編集部

発注者側の施工管理へ転職する道|発注者支援・CM会社・デベロッパーの違い

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施工管理が発注者側へ移る道は、大きく分けて3つです。公共工事の発注者を補助する「発注者支援業務の会社」、発注者の代わりにプロジェクト全体を管理する「CM会社」、自社の建物を建てる「デベロッパーや事業会社」。どれも工事を確かめる側に回る点は同じですが、雇い主と、誰の代わりに動くかが違います。

どの道が合うかは、今の経験が土木か建築か、公共か民間かでおおよそ決まります。以下では3つの道を並べて比べたうえで、それぞれの仕事の中身と移るまでの手順を書いていきます。発注者側の仕事そのものの説明は、発注者側の施工管理の仕事と年収・残業にまとめました。

3つの道を一枚で比べる

まずは3つの道の違いを表にします。「誰に雇われ、誰の代わりに動くか」の行を見ると、それぞれの性格が分かります。

比べる点発注者支援業務の会社CM会社デベロッパー・事業会社
雇い主業務を受託する民間の会社CM業務を受託する民間の会社建物・施設を持つ会社
誰の代わりに動くか国・自治体の監督職員を補助発注者の代わりに全体を管理自社が発注者そのもの
主な仕事積算の補助、技術審査の補助、工事監督の補助発注方式の提案、設計・施工の調整、コスト・工程管理事業計画に沿った設計・工事の管理、施工者の選定
生きやすい経験公共の土木工事の施工管理公共建築・民間建築の施工管理、積算民間の建築工事、設計変更・コストの調整
関係する資格業務ごとの要件(施工管理技士などが挙がる例がある)CCMJ(日本CM協会の認定資格)決まった資格は求人ごと

3つの中で、施工管理の経験がいちばん直接生きるのは発注者支援業務です。現場の監督を補助する仕事なので、元請で施工状況を見てきた経験をそのまま使えます。CMとデベロッパーは、施工の経験に加えて、コストや事業のスケジュールを見る力が求められます。

発注者支援業務の会社:公共工事の監督を補助する

発注者支援業務は、国土交通省の地方整備局などが民間の会社に委託している業務です。地方整備局の資料では、主な業務が次の3つに分けられています。

発注者支援業務の主な3つ 流れ: 発注の準備→入札・契約→施工・検査 積算技術業務 契約の前 発注図面と数量の とりまとめ 積算資料・積算 データの作成 技術審査業務 入札・契約のとき 入札参加者の 申請書類の整理 技術力を評価する 審査資料の作成 工事監督支援業務 施工中 施工状況の照合 協議用資料の作成 工事検査への臨場
図: 施工管理の経験が一番そのまま生きるのは、施工中を受け持つ工事監督支援業務

出典: 国土交通省中部地方整備局「発注者支援業務等の業務分類」資料(平成28年12月) リンク/近畿地方整備局 和歌山河川国道事務所「工事監督支援業務」積算内訳書 リンク

工事監督支援業務は、監督職員を補助して工事の円滑な履行と品質の確保を図る業務です。元請の立場で受けてきた段階確認や検査を、今度は確かめる側として行います。施工計画書や出来形の資料を見慣れていることが、そのまま強みになります。

この業務を受ける会社は、建設コンサルタントや発注者支援を専門にする会社です。担当する技術者には、業務ごとに資格や経験の要件が決められていることがあり、施工管理技士などが要件に挙がる例があります。応募の前に、求人票と業務の公告で要件を確かめてください。

年間の流れも元請と違います。公共工事の発注者を補助するので、仕事の区切りは工事の工期より、発注者の年度に合わせて来ます。年度末には完成検査が集まりやすく、その時期の働き方は面接で確かめておきたい点です。

注意点は、受託する業務の期間で配属が決まることです。和歌山河川国道事務所の工事監督支援業務では履行期間が2年間(令和7年4月〜令和9年3月)とされていて、業務が変わると勤務する事務所が変わることがあります。勤務地の範囲を面接で聞いておきます。

CM会社:発注者の代わりにプロジェクト全体を管理する

CM(コンストラクション・マネジメント)は、発注者の側に立って、設計から施工までの発注・コスト・工程を管理する仕組みです。公共事業で多いピュア型CMでは、CM会社は発注者と契約し、設計者や施工者に対して発注者の立場で調整します。

ピュア型CMの関係 発注者(自治体など) CM会社 設計者 施工者 設計の契約 工事の契約 CM業務の契約 点線: 発注者の 立場で調整・確認
図: CM会社は設計者・施工者と直接契約せず、発注者の立場で調整する

国土交通省が2024年9月に公表した調査では、CM方式の導入件数は平成26年度の品確法改正以降に大きく増えています。建築事業では発注者の約9割が市区町村などの公的機関で、施設は学校・病院・庁舎が多いとされています。公共建築の施工管理をしてきた人には、仕事の対象がイメージしやすい行き先です。

CMには、CM会社が施工のリスクを負わない「ピュア型」と、CM会社が工事の契約まで引き受ける「アットリスク型」があります。公共事業で多いのはピュア型で、この場合のCM会社の仕事は、施工ではなく発注者の判断を支えることです。求人を読むときは、どちらの形のCMを扱っている会社かを確かめると、仕事の中身が分かります。

CMの資格としては、日本CM協会のCCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)があります。協会の案内では、3年以上の実務経験があれば受験できます。国土交通省のガイドライン(2020年)で、CM業務の資格要件の例の一つとされている資格です。

出典: 国土交通省「CM方式の導入実績、建築・土木事業とも増加中」(2024年9月27日) リンク/日本コンストラクション・マネジメント協会「CCMJ資格について」 リンク

CM会社では、施工の経験に加えて、コストの見方と、発注者に説明する力が問われます。元請で実行予算を組んだ経験や、設計変更の金額を協議した経験は、職務経歴書に具体的に書いておきます。

デベロッパー・事業会社:建てる側の社員になる

デベロッパーや、鉄道・電力・工場を持つメーカーなどの事業会社には、自社の建物や施設をつくる建設部門があります。ここでは施工管理は「発注者の社員」として、設計者と施工者を選び、事業のスケジュールとコストに合わせて工事を管理します。元請での経験がどこで生きるかを並べたのが次の表です。

元請での経験デベロッパー・事業会社で生きる場面
工程表を作り、工程会議を回した施工者の工程表を見て、引き渡し日に間に合うか判断する
実行予算を組み、原価を管理した見積りの妥当性を確かめ、設計変更の金額を協議する
施工図・納まりを検討した設計段階で、施工しにくい納まりを先に指摘する
竣工検査・是正に対応した引き渡し前の検査で、確かめる場所を決める
近隣・行政との協議をした着工前の近隣説明や行政協議の段取りを組む

事業会社の建設部門では、新築だけでなく、持っている施設の改修や維持の計画も担当することがあります。工事を発注する回数は会社の投資計画で決まるため、新築が多い年もあれば改修が多い年もあるのが実情です。面接では、ここ数年の工事の件数と種類を聞くと、入社後の仕事の比率が見えてきます。

デベロッパーの求人は、民間の建築工事の経験を求めるものが中心です。担当した建物の用途と規模、自分が受け持った工程を具体的に書けるようにしておきます。求められる経験と年収の目安はデベロッパーへ移る施工管理の条件で詳しく書いています。

発注者側へ移るまでの4つの手順

3つの道のどれを選ぶ場合も、進め方は同じです。違うのは、職務経歴書と面接で「どの経験を前に出すか」です。

1. 経験を「確かめる側」の言葉で書き出す 検査・工程の判断・設計変更の協議をした場面 2. 3つの道から1つを選ぶ 土木は支援業務、建築はCM、民間は事業会社 3. 求人票で要件と勤務地の範囲を確かめる 資格・経験年数の要件と、配属の変わり方 4. 志望動機を「発注者の目線」で組み立てる 施工を知る人が確かめる側に立つ意味を説明する
図: 経験の書き出し → 道を選ぶ → 要件の確認 → 志望動機、の順に進める

1が一番大事な準備です。ここを飛ばすと、2で道を選ぶときの根拠もあいまいになります。元請の職務経歴書は「何をつくったか」を中心に書きがちですが、発注者側の面接では「何を確かめ、何を判断したか」が聞かれます。段階確認で不具合を見つけた、工程の遅れを早く見抜いて手を打った、設計変更の金額を根拠を持って協議した。こうした場面を、工事名・規模・自分の役割と一緒に書き出します。

3つの道のどれを選んでも、面接で見られやすい点は共通しています。

  • 施工の流れを最初から最後まで経験しているか(着工前の計画から竣工検査まで)
  • 書類と図面を読んで、施工者の説明の筋が通っているかを判断できるか
  • 発注者や設計者、近隣、行政など、施工者以外の相手と協議した経験があるか

4の志望動機は、「楽になりたいから」ではなく、「施工を知っている人が確かめる側にいると何が良くなるか」で組み立てます。書き方の例は施工管理の志望動機の書き方に、面接で聞かれやすい質問は施工管理の転職面接でよく聞かれる質問にまとめています。

発注者側の求人は、一般の求人サイトでは「施工管理」として出ていないこともあります。「発注者支援」「CM」「施設管理(建設)」など呼び方が分かれるので、建設業界の求人を扱う転職エージェントに条件を伝えて探してもらうと、見落としが減ります。

よくある質問

役所の技術職に経験者として入る道はありますか。
国や自治体には、社会人の経験者を対象にした採用試験を行っているところがあります。受験できる年齢や必要な経験年数は試験ごとに違うので、受けたい自治体の募集要項で確かめてください。
発注者側に移ると年収は下がりますか。
発注者側だけをまとめた年収の公的な統計はないので、一概には言えません。元請では残業代が年収の一部を占めることが多いため、求人の提示額は固定残業代を除いた額で今の年収と比べてください。
建築の経験しかなくても発注者支援業務に移れますか。
求人や業務の要件で、土木の経験を求めているかをまず確かめてください。建築の経験が中心なら、公共建築のCMや、デベロッパー・事業会社の建設部門のほうが経験を生かしやすい行き先です。
40代でも発注者側に移れますか。
年齢の条件は求人ごとに違います。発注者側の仕事は施工を確かめる側なので、長く現場を見てきた経験は評価されやすい材料です。年齢で不利にならない進め方は40代の施工管理の転職で書いています。

次にやること

  1. 担当した工事を、検査・工程の判断・設計変更の協議の3つの場面で書き出す
  2. 今の経験(土木か建築か、公共か民間か)から、3つの道のうち1つを選ぶ
  3. 選んだ道の求人を3件読み、資格の要件と勤務地の範囲をメモする

セコカン転職マップ編集部

施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。