施工管理の残業時間は月何時間?公的統計と民間調査を出典つきで比べた

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厚生労働省の毎月勤労統計調査(2025年確報)では、建設業の一般労働者の残業(所定外労働時間)は月13.5時間です。ただしこれは職人・事務・営業を含む建設業全体の平均です。ゼネコン職員の労働組合(日建協)の調査では、2021年11月の平均が月42.9時間、現場に出る外勤者だけだと月59.2時間でした。どちらも正しい数字で、差は「誰を数えたか」から生まれています。
残業時間の数字は、調べた相手で4倍以上変わる
「施工管理の残業は月○時間」という記事を読み比べると、10時間台から60時間近くまで幅があります。数字の出どころを並べると、ずれの理由が見えてきます。
| 調査 | 対象 | 時期 | 月の残業 |
|---|---|---|---|
| 厚労省 毎月勤労統計調査 | 建設業の一般労働者(職人・事務も含む) | 2025年平均 | 13.5時間 |
| 厚労省 毎月勤労統計調査 | 全産業の一般労働者 | 2025年平均 | 13.2時間 |
| 日建協 時短アンケート | ゼネコン等の職員(組合員)全体 | 2021年11月 | 42.9時間 |
| 日建協 時短アンケート | 同上のうち外勤者 | 2021年11月 | 59.2時間 |
| 日建協 時短アンケート | 外勤の建築/外勤の土木 | 2019年11月 | 61.7時間/59.5時間 |
出典: 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」(2026年2月公表) リンク/労働新聞「外勤者で月60時間弱 残業理由の最多は書類 日建協」(2022年) リンク/日建協「2019時短アンケートの概要」(厚生労働省の会議資料として掲載) リンク
毎月勤労統計は、会社(事業所)が賃金台帳などをもとに答える国の統計です。建設業に勤める人全員の平均なので、内勤の事務や、日給で働く職人さんも入ります。日建協は、ゼネコンなどで働く職員の労働組合の集まりで、毎年11月に組合員へ労働時間を聞いています。施工管理に近いのは日建協の数字ですが、組合のある比較的大きな会社の職員が中心です。
日建協の調査に出ている「平均の内訳」
日建協の資料には、平均だけでなく時間ごとの分布も載っています。2019年11月の調査では、全体の平均は43.7時間で、2017年の46.8時間、2018年の47.5時間から下がりました。それでも外勤者に限ると、月45〜80時間の人が46.7%で最も多く、80〜100時間が11.6%、100時間以上が9.9%いました。外勤者の約2割が月80時間以上だった計算です。
月100時間以上の人の割合は、全体で5.8%(2018年は8.4%)、外勤の建築で12.4%、外勤の土木で8.4%でした。これは上限規制が建設業に適用される前の数字です。平均が40時間台でも、現場によっては100時間を超える人がいたことが分かります。日建協自身も、2024年の上限規制を見すえて「日建協平均を月30時間以内にする」という目標を掲げていました。
出典: 日建協「2019時短アンケートの概要」 リンク
日建協の2022年以降の結果は、公開されている範囲では確かめられませんでした。最新の値は日建協の公式発表で確認してください。
出典: 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」 リンク/労働新聞(日建協 時短アンケート 2021年11月分) リンク
国の統計の月13.5時間が、現場の感覚より少ない理由
竣工前の月に毎日21時まで事務所に残っていた人から見ると、月13.5時間は少なすぎる数字です。理由は3つあります。
- 対象が広い。建設業で働く人には、定時で帰る内勤や、残業の少ない職種も入ります。施工管理だけを抜き出した数字ではありません。
- 1年の平均である。工期末の月と、着工直後の落ち着いた月がならされます。
- 記録に残った時間だけが入る。会社が賃金台帳に載せていない残業は、統計に出てきません。
3つ目については、民間の調査が手がかりになります。レバレジーズが2026年3月に施工管理職の正社員573人へ聞いた調査では、2024年4月の上限規制のあと「残業時間が減った」が40.3%でした。一方で、今も「サービス残業をしている」と答えた人が56.4%いました。理由の1位は「残業時間の上限内では業務が終わらない」と「人手不足が解消されていない」(どちらも56.7%)です。
統計の数字に出てこない時間の例を挙げます。
- 打刻のあとに書いた施工計画書や安全書類
- 自宅へ持ち帰った工事写真の整理や図面のチェック
- 申請しなかった早出(朝礼前の段取りや、KY活動の準備など)
反対に、タイムカードや勤怠システムに残った残業、申請して認められた休日出勤、記録した臨時の呼び出しは数字に入ります。
出典: 厚生労働省「毎月勤労統計調査」の用語の説明(所定外労働時間=早出、残業、臨時の呼出、休日出勤等の実労働時間数) リンク/レバレジーズ「建設業の残業規制に関する実態調査」(2026年3月19日) リンク
レバレジーズの調査は、転職支援サービスを運営する会社がインターネットで行ったものです。国の統計とは集め方が違うので、割合は「傾向を見る材料」として読んでください。
1年で見ると、建設業は全産業より43時間長い
月の残業だけでなく、1年間に働いた時間の合計で比べると、建設業の長さがはっきりします。国土交通省のまとめでは、建設業の年間総実労働時間は2012年度の2,099時間から2025年度は1,972時間へ127時間減りました。それでも全産業(1,928時間)より43時間長いままです。
出典: 国土交通省「建設業を取り巻く状況等について」(厚生労働省「毎月勤労統計調査」年度報から国土交通省が作成。パートタイムを除く一般労働者) リンク
43時間は、1日8時間で割ると5日分です。同じ資料では、建設業の年間出勤日数は全産業より7日多いとされています。残業の多さに加えて、土曜に現場が動くことが年間の差を広げています。
休みの取り方で、残業の重さは変わる
同じ月40時間の残業でも、毎週2日休めるかどうかで体の負担は変わります。国土交通省の令和7年度の調査では、技術者(施工管理など)が4週で何日休めているかに、公共工事と民間工事で大きな差がありました。
| 技術者の休み | 全体 | 公共工事がほとんど | 民間工事がほとんど |
|---|---|---|---|
| 4週8休(週休2日)以上 | 38.5% | 67.0% | 21.6% |
| 4週7休程度 | 14.1% | 9.8% | 13.6% |
| 4週6休程度 | 33.0% | 18.7% | 39.8% |
| 4週5休程度以下・不定休 | 14.3% | 残りの約4.5% | 25.0% |
出典: 国土交通省「令和7年度 適正な工期設定による働き方改革の推進に関する調査」(国土交通省「建設業を取り巻く状況等について」に掲載。最後の行は資料の値を足した値) リンク
民間工事が中心の技術者では、4週6休程度が39.8%で最も多い形です。土曜の出勤が月に2回ある働き方で、残業時間の数字には休日出勤として入る場合もあれば、会社の休日カレンダーで最初から出勤日になっている場合もあります。
4週6休と4週8休の差を時間にすると、4週で2日、1年(13回)で26日です。1日8時間で計算すると208時間、月にならすと約17時間。残業時間が同じでも、休みの形しだいで年間の働く時間はこれだけ変わります。休みの表記の読み方は「完全週休2日」と「週休2日制」の違いで詳しく書いています。
自分の残業時間を、同じ物差しで測る
転職先と比べるには、まず今の残業を同じ数え方で出しておく必要があります。給与明細の残業時間と、実際に残っていた時間がずれている人は、2つを分けて書き出してください。
手順1の「1日8時間・週40時間」は労働基準法の法定労働時間です。会社の所定労働時間が7時間30分なら、8時間までの30分は法律上の時間外労働に入りません。手順2の休日出勤は、上限規制の「月100時間未満」「2〜6か月平均80時間以内」では残業と合算します。
手順4の線の意味は、残業上限(2024年4月〜)の整理と月100時間の数え方にまとめています。月45時間は原則の上限、月80時間は複数月平均の上限、月100時間は単月の上限です。
給与明細の残業時間と、実際の時間がずれるとき
給与明細に載る残業は、申請して認められた時間です。入退場の記録や事務所の施錠時刻、メールの送信時刻と比べると、明細との差が見えます。差が毎月10時間を超えるようなら、その会社の「残業月○時間」という数字は実態より少なく出ていると考えたほうが安全です。
会社には、労働安全衛生法にもとづいてタイムカードやPCのログなど客観的な方法で労働時間の状況を把握し、その記録を3年間保存する義務があります。自分のメモと会社の記録の両方があれば、転職先と比べるときも、今の会社に相談するときも話が進めやすくなります。
出典: 厚生労働省 労働基準局「管理監督者の労働時間データについて」(労働時間の状況の把握) リンク
残業の少ない会社を探すときに聞く数字
求人票の「残業月20時間程度」は、全社の平均か、現場配属の平均かで意味が変わります。面接や転職エージェントを通して、次の数字を聞くと比べやすくなります。
| 聞くこと | 答えで分かること |
|---|---|
| 現場配属の施工管理だけの、昨年度の月平均残業 | 内勤を含めた平均で薄まっていないか |
| 工期末の月の残業の多い人の時間 | 平均では見えない山の高さ |
| 勤怠の記録方法(入退場記録・PCのログなど) | 記録に残らない残業が生まれにくい仕組みか |
| 担当している現場の4週の閉所日数 | 土曜出勤が残業に入るのか、出勤日扱いか |
聞くときは、期間もそろえてください。「直近の月」は工期の山か谷かで大きく変わるので、昨年度の12か月の平均と、いちばん多かった月の両方を聞くと比べやすくなります。複数の会社に同じ聞き方をすれば、同じ物差しで並べられます。
数字ですぐに答えが返ってくるかどうかも、勤怠を管理しているかの手がかりになります。職場の種類ごとの比較は残業が少ない施工管理の職場で扱っています。
よくある質問
- 施工管理の残業時間の「平均」は結局何時間ですか。
- 施工管理だけを対象にした国の統計はありません。建設業全体なら毎月勤労統計で月13.5時間(2025年)、ゼネコン等の職員なら日建協の調査で月42.9時間(2021年11月)、外勤者だけで月59.2時間です。自分に近い対象の数字を使ってください。
- 2024年4月の上限規制で残業は減りましたか。
- 国土交通省のまとめでは、建設業の年間総実労働時間は2012年度から2025年度で127時間減っています。施工管理職573人への民間調査(2026年3月)では、40.3%が「減った」と答えた一方、56.4%が今もサービス残業があると答えました。
- 建築と土木で残業時間は違いますか。
- 日建協の2019年11月の調査では、外勤の建築が月61.7時間、外勤の土木が月59.5時間でした。差は2時間ほどで、それより内勤か外勤かの差のほうが大きく出ています。
- 電気・管工事(設備)の施工管理の数字はありますか。
- 設備の施工管理だけを分けた公的な残業統計は、今回確かめた範囲では見つかりませんでした。面接で、現場配属の施工管理の月平均残業を数字で聞くのが確実です。
次にやること
- 直近3か月の給与明細から、残業時間と休日出勤の日数を書き出す。
- 明細に載らない時間(打刻後の書類、持ち帰り)を1か月だけメモし、明細との差を出す。
- 応募したい会社に、現場配属の施工管理だけの月平均残業と、4週の閉所日数を聞く。
セコカン転職マップ編集部
施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。



