転職の進め方

施工管理の復職、現場以外に移れる?積算・工務・購買への社内異動の頼み方

セコカン転職マップ編集部

施工管理の復職、現場以外に移れる?積算・工務・購買への社内異動の頼み方

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施工管理が休職から戻るとき、現場以外の部署を希望することはできます。厚生労働省の職場復帰の手引きでは「元の慣れた職場」へ戻すのが原則とされる一方、異動などがきっかけで体調を崩した場合は配置転換や異動をした方が良い場合もある、と書かれています。異動を決めるのは会社ですが、主治医と産業医の意見に「現場以外が望ましい理由」を入れてもらい、人事との面談で積算・工務・購買などの具体的な部署名を出すと、話が前に進みやすくなります。

この記事は医療や労務の判断をするものではありません。体調や働ける範囲は主治医・産業医に、会社の決まりや給料の扱いで迷ったときは社労士や労働基準監督署に相談してください。

現場に戻りたくないのは、わがまま?

朝礼の声、工程会議、職人さんからの電話。休職のきっかけが現場の毎日だった人にとって、同じ場所に戻るのは怖くて当然です。それでも「会社は辞めたくない」と考える理由はいくつもあります。勤続年数、資格手当、家から通える支店、仲の良い同期。辞めずに働き方だけ変える道を探すのは、わがままではありません。

厚労省と労働者健康安全機構の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、会社が復職を支えるときの進め方をまとめた資料です。この中で会社が作る「職場復帰支援プラン」には、次の項目を検討するよう書かれています。

プランの項目(手引きの見出し)中身の例(手引きの記載から)施工管理に当てはめると
職場復帰日いつから戻るか工期の区切りではなく、体調で決める
管理監督者による就業上の配慮業務内容や業務量の変更、段階的な配慮現場の担当数を減らす、書類だけから始める
人事労務管理上の対応配置転換や異動の必要性、勤務制度変更の可否積算・工務・購買など内勤部署への異動
産業医等の意見安全配慮義務に関する助言など高所・夜間・長距離運転を避けるかどうか
フォローアップ配慮を見直す時期の見通し何か月後に面談するか

「異動するかどうか」は、復職の話し合いで最初から検討される項目の一つです。言い出しにくい特別なお願いではありません。手引きでは、復帰後の配慮の例として「残業・深夜業務の禁止」「出張制限」「転勤についての配慮」も挙げられています。夜間工事や遠方現場の単身赴任がつらかった人は、ここも話に入れられます。

出典: 厚生労働省・労働者健康安全機構「改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」 リンク

戻る・内勤へ移る・社外へ移る、3つの道の違い

復職のときに取れる道は、大きく3つです。どれが正しいということはなく、何を守りたいかで選び方が変わります。

復職のときに選べる3つの道 元の現場に戻る 社内の内勤へ移る 社外へ移る 変わらないもの 給料・手当・人間関係 変わるもの 業務量の配慮のみ 気をつけること 原因が残ったままか 配慮がいつまで続くか 変わらないもの 勤続年数・会社の制度 変わるもの 仕事の中身・勤務時間 気をつけること 現場手当・残業代の増減 現場へ戻す時期の約束 変わらないもの 資格と経験の値打ち 変わるもの 会社・給料・通勤先 気をつけること 体調が戻ってから動く 休職中の退職は急がない
図: 3つの道で変わるもの・変わらないもの。真ん中の「社内の内勤」がこの記事の話です

元の現場に戻る道は、給料も人間関係もそのまま残ります。ただ、休職の原因が工期の詰まり方や上司との関係なら、それも残ります。社外へ移る道は、原因ごと環境を変えられますが、体調が戻りきらないうちの転職活動は負担が大きくなります。休職からの転職の考え方は適応障害で休職中の人向けの記事にまとめています。

社内の内勤へ移る道は、その間にあります。勤続年数や福利厚生をそのまま持ちながら、朝礼・夜間工事・職人さんとの調整から離れられます。代わりに、現場に付いていた手当や残業代が変わる可能性があり、そこは後の章で確かめ方を書きます。

施工管理の経験が生きる内勤はどこ?

部署の名前と中身は会社によって違いますが、ゼネコンやサブコンで現場経験が生きやすい内勤には次のようなものがあります。自分の会社に何という名前の部署があるかは、組織図か社内のイントラで確かめられます。

部署(呼び方の例)主な仕事現場経験が生きる所合う・合わないの目安
積算図面と仕様書から数量を拾い、見積りの元を作る納まりや施工手順が分かると拾い漏れが減る机で数字と図面に向き合うのが苦にならない人に合う。締切前は忙しい
工務・工事管理現場の予算・工程・人員配置を本社側でまとめる現場が何に困るかが分かる現場と電話でやり取りする場面は残る
購買・調達協力会社や資材の発注、価格交渉職種ごとの相場や段取りが分かる社外との交渉が続くので、人との調整に疲れた人は中身をよく聞く
安全・品質管理安全書類や品質記録の確認、現場パトロール現場の危ない所や書類の流れが分かるパトロールで現場に出る回数を確かめる
技術・設計支援施工図、施工計画書、技術提案書の作成支援施工図や計画書を書いた経験がそのまま使える部署がある会社は限られる

選ぶときは「現場から離れられるか」だけでなく、何に疲れて休むことになったかと照らし合わせます。長時間労働が原因なら、積算の締切前の忙しさを聞いておく。人との板挟みが原因なら、工務や購買は外して積算や技術支援を希望する。原因と部署の中身がずれていると、異動しても同じつらさが続きます。

積算に移ると、数量の拾い方や単価の考え方を覚え直す時期があります。復職前の期間に、簿記や表計算の練習をしておく人もいます。ただ、勉強は主治医から活動を増やしてよいと言われてからで十分です。

異動を頼む順番は「主治医→産業医→人事」

内勤への異動は、上司に口頭で「現場は無理です」と伝えるだけでは通りにくいものです。手引きの流れに沿って、医師の意見を先に固めてから人事と話すと、会社も判断しやすくなります。

内勤への異動を頼む4つの段階 1. 主治医の診断書 「復職可」に加え、避けたい業務を書いてもらう 2. 産業医面談 現場の仕事の中身を伝え、意見書に入れてもらう 3. 人事・上司との面談 希望の部署名と、給料の変わり方を確かめる 4. 会社が異動を決める 決まった内容は書面かメールで残す
図: 異動を頼む順番。医師の意見を先に固めてから人事と話す

1. 主治医には現場の一日を具体的に伝える

手引きには、主治医の診断は日常生活での回復の程度で判断していることが多く、職場で求められる業務遂行能力まで回復したという判断とは限らない、と書かれています。主治医は施工管理の仕事を知らないことがほとんどです。7時台の朝礼、日中の巡回、夕方からの書類、夜間工事の立ち会い、休日の電話といった一日の流れを紙に書いて見せると、「どの業務を避けるべきか」を診断書に書いてもらいやすくなります。

2. 産業医には「何がきっかけだったか」を話す

手引きでは、主治医の判断と職場で必要な業務遂行能力を産業医等が照らし合わせ、意見を述べる流れになっています。産業医面談では、体調の話に加えて、休職のきっかけが現場のどの部分だったかを伝えます。異動がきっかけで体調を崩したケースなどでは配置転換を検討してよい、というのが手引きの考え方なので、きっかけを言葉にしておくと産業医も意見を書きやすくなります。

支店や営業所の規模によっては、産業医がいない事業場もあります。その場合は、地域産業保健センターなど会社の外の窓口と連携する方法が、手引きの中で挙げられています。

3. 人事には部署名を出して頼む

「現場以外ならどこでも」と伝えると、会社は空きのある部署から考えます。前の章の表から希望を2つほど選び、理由を添えて伝える方が具体的に検討してもらえます。例えば「図面と数量を扱う仕事なら経験が生きるので、積算を第一希望にしたい」という形です。

内勤に移ると給料はどう変わる?

現場から内勤に移ると、給料の中身が変わることがあります。変わり方は会社の給与規程で決まっていて、一律の決まりはありません。異動を受ける前に、人事面談で次の項目を確かめておくと、あとで「思っていたより手取りが減った」となるのを防げます。

確かめる項目変わりやすい理由面談での聞き方の例
現場手当・作業所手当現場に配属されている人だけに付く会社がある「内勤に移ると、現場手当は外れますか」
残業代残業時間が減れば、その分の支給も減る「部署の月の平均残業は何時間ですか」
資格手当資格を持っていれば付く会社と、配置で変わる会社がある「1級の資格手当は部署が変わっても続きますか」
単身赴任手当・住宅手当赴任先から戻ると外れる「赴任先の住まいはいつまでに引き払いますか」
賞与の評価部署によって評価の物差しが違う「異動した年の評価はどう決まりますか」
現場へ戻る時期一時的な配慮として内勤に置かれる場合がある「この異動は期間の決まった配慮ですか」

最後の項目は見落としやすいところです。手引きには、配慮を見直すタイミングや、配慮が不要になる時期の見通しもプランに入れる、と書かれています。会社が「半年後に現場へ戻す」つもりで内勤に置いているのか、正式な異動なのかで、その後の働き方が大きく変わります。ここははっきり聞き、答えをメールで残しておきます。

休職中の収入を支える傷病手当金は、復職して給料が出るようになると支給の対象から外れます。傷病手当金の仕組みは休職中の記事で図にしています。

異動の希望が通らなかったら、どうする?

会社の規模や部署の空きによっては、内勤への異動が通らないこともあります。小さな会社では積算や購買の部署そのものがなく、現場の人が兼ねている場合もあります。そのときに取れる道は次のとおりです。

  • 元の部署に戻り、現場の担当数・夜間工事・遠方現場などの配慮を具体的に決めてもらう
  • 一定期間たったら、もう一度異動を相談する時期を決めておく
  • 体調が安定してから、社外の積算・発注者支援・施工図などの仕事を探す

社外へ移る場合、現場経験を生かせる行き先には、ゼネコンの現場以外にも、発注者側の技術職や建設コンサルタントの発注者支援業務があります。比べ方は発注者側への転職の記事にまとめています。今の会社に残るか移るか自体を迷っている段階なら、施工管理を辞めたいときの記事で考える順番を確かめられます。

社外の内勤の求人を見ておくと、社内の異動の話し合いでも「外ではこういう仕事がある」と比べながら考えられます。動き出すのは主治医が回復を認めてからで間に合います。

よくある質問

休職明けに「現場以外がいい」と言ったら、評価が下がりますか?
評価の決め方は会社ごとに違うので一概には言えません。ただ、厚労省の手引きでは、配置転換や異動の必要性は職場復帰支援プランで検討する項目の一つです。気になる場合は、人事面談で異動した年の評価がどう決まるかを聞いておくと安心です。
産業医が「元の現場で大丈夫」と言ったら、もう異動は無理ですか?
産業医の意見は会社の判断材料の一つです。主治医に現場の一日の流れを伝えたうえで、避けたい業務を診断書に具体的に書いてもらい、もう一度話し合う方法があります。判断に納得できないときは、社労士など外部の専門家に相談できます。
積算って、施工管理から移ってもついていけますか?
図面が読めること、納まりや施工の順番が分かることは、数量を拾うときに役立ちます。単価や見積りの作り方は部署で覚えることになるので、最初の数か月は覚え直しの時期だと考えておくと気持ちが楽です。
復職してしばらく内勤にいたら、また現場に戻されますか?
会社が一時的な配慮として内勤に置いているのか、正式な異動なのかで変わります。面談で「この異動は期間の決まった配慮ですか」と聞き、答えをメールで残しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。

次にやること

  1. 現場の一日の流れ(朝礼から夜の書類、休日の電話まで)を紙1枚に書き、次の通院で主治医に見せる
  2. 会社の組織図で、積算・工務・購買など内勤部署の名前を確かめ、希望を2つ選んで理由を一言ずつ書く
  3. 人事面談の前に、現場手当・残業代・資格手当・現場へ戻る時期の4つを質問メモにしておく

セコカン転職マップ編集部

施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。