職人の注文を伝えると先輩に怒鳴られる新人監督へ|板挟みで伝言役にならない伝え方

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職人と先輩の板挟みで怒鳴られるのは、新人が「伝言役」になっているからです。伝言役は判断する権限がないのに、両方の不満を受け止める位置に立たされます。抜け出す方法は、注文を「誰が・何を・いつまでに・なぜ」の形で書いて渡すことと、先輩と職長さんが直接話す場を作ることです。新人が判断を代わりに背負う必要はありません。
叱り方が仕事の範囲を超えて人格を否定するものなら、伝え方の工夫では直りません。所長や社内の相談窓口に話してよい内容です。
職人と先輩の板挟み、新人はどう動けばいいの?
新人に求められているのは、両方の言い分を正しく運ぶことと、決める人に早く渡すことです。職人さんの注文に「いいですよ」と答えることでも、先輩の代わりに職人さんを説得することでもありません。
Xでは、新人のころ職人さんと揉めている先輩の間に入り、職人さんの注文を伝えるたびに先輩に怒鳴られた、という声も見かけます。先輩から見ると、新人が持ってくる話は「職人の言い分を通しに来た」ように聞こえやすいのです。職人さんから見ると、返事を持ってくる新人は「先輩の言い分を押し付けに来た」人に見えます。どちらの怒りも、伝えている新人に向かいます。
新人の側に落ち度があるとすれば、注文を口頭で、自分の言葉に言い換えて運んでいることです。言い換えるたびに、元の話の理由や細かい条件が抜け落ちます。
伝言が揉め事に変わる流れ
同じ注文でも、運び方で結果が変わります。左は新人が口頭で行き来する形、右は書いて渡し、三者で短く話す形です。
右の形で大事なのは、新人が「決める場」を作る係に回ることです。先輩と職長さんが直接話せば、言い換えによるずれは起きません。新人は決まった内容を記録して朝礼で共有する役目を持つので、仕事を投げ出したことにもなりません。
先輩が忙しくて現場に来られないときは、職長さんの了解を取って電話をつなぐだけでも違います。自分の声で両方の言葉を運ばない、と決めておくと、怒りが向く先も変わります。
三者で話す場は、長くなくて構いません。現場の該当箇所の前に立ち、職長さんが理由を話し、先輩がその場で決める。慣れれば5分で終わります。毎朝の朝礼の後に「確認したいことがある業者さんは残ってください」と時間を取る方法もあります。
注文を伝えるときの5項目の型
職人さんの注文は、聞いたその場でメモ帳かスマホに次の5項目で書きます。先輩にはそのメモを見せながら話します。
| 項目 | 書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 誰から | 会社名と職長さんの名前 | 内装の○○さん(職長) |
| 何を | 注文の中身を、聞いた言葉のまま | 3階の東側を先にボード張りしたい |
| いつまでに | 返事が欲しい日時 | 明日の朝礼まで |
| なぜ | 職人さんが挙げた理由 | 西側は設備の配管がまだで入れない |
| 自分の確認 | 現場を見て分かったこと | 西側の配管は今週金曜に完了予定と設備業者に確認済み |
5つ目の「自分の確認」が入るだけで、先輩の受け止め方は変わります。職人さんの言い分をそのまま運んだのではなく、現場を見て裏を取ったことが伝わるからです。設備の進み具合を確かめるのは、新人でもできる仕事です。
先輩に話すタイミングも選びます。工程会議の直前や、発注者との打合せから戻った直後は避け、昼休みの前後など手が空いた時間に「5分いいですか」と聞きます。
決まった後の記録も、同じメモに書き足します。「先輩の判断で東側から先に施工。西側は配管完了後の来週月曜から」と書いて職長さんにも見せれば、後で「言った・言わない」になりません。メモはスマホで写真を撮っておくと、日付つきで残ります。
この型に慣れてくると、注文を受けた段階で「理由」と「自分の確認」が埋まらないことに気づけます。埋まらないまま先輩に持って行くと、聞き返されて怒られる流れになりがちです。埋まらない欄は、職長さんにその場で聞き直すか、現場を見に行ってから持って行きます。数分の手間で、怒鳴られる場面を1つ減らせます。
先輩はなぜ、職人さんの注文を嫌がるの?
先輩が職人さんの注文に強く反応するのは、注文が1つ通ると、ほかの業者の段取りや検査の日取りまで動くことがあるからです。新人には見えにくい事情を、先輩は抱えています。
| 先輩が気にしていること | 新人が添えると話が通りやすい情報 |
|---|---|
| ほかの業者の作業とぶつからないか | 同じ場所に入る予定の業者と、その日時 |
| 検査や立会いの日取りがずれないか | 配筋検査・中間検査など、近くにある検査の予定 |
| 所長や発注者に説明がつくか | 注文を受けた理由と、変えない場合に起きること |
| 材料や人工の費用が増えないか | 追加の材料や手間が出るかを職長さんに聞いた結果 |
表の右の列は、どれも工程表と職長さんへの質問で調べられます。注文を受けた時点で「先輩はこれを聞いてくるはず」と考えて先に確かめておけば、怒鳴られる前に話が進みます。
先輩の側に立って考えるのは、言いなりになるためではありません。先輩と職人さんが何を気にしているかを両方知っている新人は、いずれ自分が現場を持ったときに、同じ板挟みを下の人に作らずに済みます。
先輩に怒鳴られるのは、指導のうち?
仕事のミスを指摘されるのは指導です。ただ、怒鳴り方によっては指導の範囲を超えます。厚生労働省は職場のパワハラを、次の3つをすべて満たすものとしています。客観的に見て業務上必要で相当な範囲の指導は当たりません。
| 3つの要素 | 新人の立場で当てはめると |
|---|---|
| 優越的な関係を背景とした言動 | 指導役の先輩や、評価をつける上司からの言動 |
| 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動 | 注文を伝えただけで、人格を否定する言葉や大声での叱責が続く |
| 就業環境が害される | 先輩に話しかけられなくなり、報告が遅れるなど仕事に支障が出る |
出典: 厚生労働省「あかるい職場応援団」パワーハラスメントとは リンク
当てはまるかどうかは、言われた内容や続いた期間で変わるので、自分だけで決めないでください。言われた日時と言葉を、その日のうちにメモに残しておくと、相談するときに話が早くなります。メモには「いつ・どこで・誰が・何と言ったか・そばに誰がいたか・その後の仕事への影響」を書きます。感想ではなく、起きたことだけを書くのが続けるコツです。
誰に、どの順番で相談する?
伝え方を変えても怒鳴られ続けるなら、一人で抱えずに相談先を広げていきます。順番の目安は次のとおりです。
- 所長(現場の責任者として、先輩と職長さんの間の決め方を直せる立場)
- 社内の相談窓口や人事(所長に話しにくいとき、所長本人が原因のとき)
- 都道府県労働局の総合労働相談コーナー(社内で取り合ってもらえないとき)
出典: 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 リンク / 厚生労働省「こころの耳」 リンク
眠れない、朝になると体が動かないといった状態なら、相談の前に医師にかかってください。休む必要があるかどうかは医師に判断してもらうものです。
所長に話しても体制が変わらないなら、会社の育て方の問題です。新人を先輩と組ませるときに役割を決めている会社や、職長さんとの調整を所長が引き受ける会社もあります。面接で「新人は誰と組み、職人さんとの調整はどこまで任されるか」を聞くと違いが分かります。職人さんに直接言われる場面の対処は職人に怒鳴られる1年目の施工管理へ、辞めるかどうか迷っているときは施工管理を辞めたいと思ったらで整理しています。
よくある質問
- 職人さんの注文を断るのも、新人の仕事なの?
- 断るかどうかを決めるのは先輩や所長です。新人が断りを伝える場合でも「先輩の判断で、理由は○○です。代わりに東側からお願いできますか」と、決めた人と理由を添えます。自分の判断のように伝えると、職人さんの不満が新人に向きます。
- 先輩と職長さんが仲が悪くて、直接話してくれません
- 直接が難しいなら、所長がいる工程会議の場で話題に出してもらう方法があります。5項目のメモを所長に見せて「この件、会議で決めてもらえますか」と頼めば、新人が板挟みになる回数は減ります。
- 先輩に怒鳴られた後、話しかけるのが怖いです
- 口頭で話しにくいなら、5項目のメモをそのままチャットや連絡ノートで送るのも一つの手です。報告が遅れると、それが次に怒られる理由になりやすいので、形を変えてでも報告は途切れさせないようにします。
- 板挟みがつらくて、新人のうちに会社を変えるのはあり?
- 体調を崩すほどなら、移ることも選択肢です。早く辞めても、担当した工事や覚えた段取りを具体的に話せれば、次の会社で評価されます。辞め方と行き先は新卒で施工管理を1年以内に辞めたいときにまとめています。
次にやること
- 次に職人さんから注文を受けたら、その場で5項目のメモを書く
- 先輩にはメモを見せて話し、必要なら職長さんと直接話す5分をお願いする
- 怒鳴られた日時と言葉を記録し、続くようなら所長か社内の窓口に相談する
セコカン転職マップ編集部
施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。



