施主・設計・職人の全員から文句を言われる施工管理へ|板挟みを抱え込まない段取り

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施工管理が施主・設計・職人の全員から文句を言われるのは、3者の要望と不満が、最後に現場の担当者のところへ集まる位置にいるからです。抱え込まないためには、事柄ごとに「決めるのは誰か」を分け、施主の要望は設計を通して書面にし、職人さんの困りごとには返事の期限をつけて返すことです。施工管理が全部を自分で決めようとすると、3方向の不満を1人で受けることになります。
この位置そのものがつらい場合は、発注者側や設計側へ立場を移す道もあります。行き先の違いは後半の表にまとめました。
なんで施主・設計・職人の全員から文句を言われるの?
3者が望んでいることは、もともと少しずつ違います。施主は早く安く思いどおりに、設計は図面どおりの意匠と性能を、職人さんは段取りよく手戻りなく。どれも当然の望みですが、ぶつかったときの調整役が現場にいる施工管理です。
Xでも、設計・施主・職人の全員から文句を言われる、という声を見かけます。特に多いのは、決まっていないことの不満が、決める立場にない施工管理に向くパターンです。照明の位置、仕上げの色、設備の納まり。どれも決めるのは施主か設計なのに、現場で職人さんの手が止まると、目の前にいる施工管理が責められます。
事柄ごとに「決めるのは誰か」を分ける
板挟みを軽くする一歩目は、何を誰が決めるのかを自分の中ではっきりさせることです。契約や現場の決まりで変わるので、着工時に所長と確かめておきます。おおまかな分け方は次のとおりです。
| 事柄 | 決める人 | 施工管理の役目 |
|---|---|---|
| 仕様や仕上げの変更(色・材料・グレード) | 施主(設計と相談のうえ) | 金額と工期への影響を見積もって示す |
| 図面の納まり・意匠 | 設計 | 現場で合わない所を質疑書で出し、回答をもらう |
| 施工の方法・手順・段取り | 施工側(所長・担当者) | 職長さんと相談して決め、施工計画書や工程表に書く |
| 工期・請負金額の変更 | 契約の当事者(施主と会社) | 根拠となる記録をそろえ、所長や会社に上げる |
| 安全の手順 | 施工側 | 誰に頼まれても省かない |
表の真ん中の列が自分でない事柄は、自分の判断で答えません。「それは設計さんの判断なので、○日までに回答をもらいます」と返すだけで、不満の矛先は少しずつ決める人のほうへ向かいます。決める人と期限をセットで伝えるのが、板挟みを抱え込まない基本です。
抱え込まないための3つの書面
口頭で受けた要望を口頭で伝え直していると、誰が何を言ったかが分からなくなり、最後は施工管理の言い間違いにされます。次の3つを書面で回すと、責任の線が見えるようになります。
| 書面 | 使う場面 | 書くこと |
|---|---|---|
| 質疑書(質疑応答書) | 図面どうしが食い違う、現場で納まらない | 該当の図面番号、問題点、施工側の案、回答期限 |
| 定例会議の議事録 | 施主・設計・施工の打合せ | 決まったこと、決める人と期限が残ったこと |
| 変更の確認書 | 施主から仕様の変更を頼まれた | 変更の中身、金額と工期への影響、施主の了解 |
質疑書には、問題点だけでなく施工側の案を添えます。案があれば設計は選ぶだけで済み、回答が早くなります。回答期限は、職人さんの作業に間に合う日から逆算して書きます。
議事録は、会議の翌日までに出席者全員に回します。「決める人と期限が残ったこと」の欄を作っておくと、次の会議でその項目から確かめられます。施主から現場で直接頼まれたことも、その場で返事をせず「設計さんと相談して、次の定例でお返事します」と議事録に載せる流れにします。
変更の確認書は、施主との関係を気にして後回しにしがちな書面です。けれど金額と工期の影響を書かずに変更を受けると、竣工前に「そんな話は聞いていない」となり、施工管理が全員から責められる形になります。
「設計を連れてこい」と職人さんに言われたら、どうする?
Xでは、職人さんに怒鳴られて「設計を連れてこい」と言われ、来た設計からは無理難題を言われた、という声も見かけます。施工管理が設計の代わりに説明しようとすると、職人さんの納得も設計の了解も得られないまま、両方の不満を受けることになります。
この場合は、職人さんの言うとおり、設計に現場を見てもらう場を作るのが早道です。動き方の順番は次のとおりです。
- 職人さんが納まらないと言っている箇所を、写真と寸法で記録する
- 質疑書に施工側の案を2つほど書き、所長に見せてから設計へ送る
- 設計が来る日時を決め、職長さん・所長・設計の3者で現場の該当箇所の前で話す
- 決まったことを議事録にし、職長さんにも渡す
設計から無理な案が出たら、その場で受けず「この案だと工程が○日延び、○○の手間が増えます」と影響を伝え、所長と施主の判断に回します。施工管理が無理を飲み込むほど、職人さんとの関係が崩れます。職人さんとの付き合い方は職人に怒鳴られる1年目の施工管理へでも整理しています。
続けやすい現場と、1人で抱え込まされる現場の違い
同じ施工管理でも、板挟みの重さは現場と会社の決め方で変わります。今の現場がどちらに近いかを、次の表で確かめてください。
| 見るところ | 続けやすい現場 | 抱え込まされる現場 |
|---|---|---|
| 施主・設計との窓口 | 所長か決まった担当が窓口になる | 誰が受けてもよく、若手が直接頼まれる |
| 質疑と変更の扱い | 質疑書と変更の確認書を回す決まりがある | 口頭で受けて、口頭で伝える |
| 定例会議 | 議事録が翌日までに出席者全員に回る | 議事録がない、または出るのが遅い |
| 担当する現場の数 | 1現場に専念できる | 複数の現場を掛け持ちしている |
右の列が多い現場では、本人の段取りだけで板挟みを減らすのは難しくなります。まずは所長に「施主さんからの頼まれごとの窓口を決めてもらえますか」と相談してみてください。窓口が1つに決まるだけで、現場で直接頼まれる回数が減ります。
会社として右の列が当たり前になっているなら、移る先を探すときに面接で確かめられます。「施主や設計との窓口は誰が持つか」「1人で何現場を担当するか」の2つを聞けば、入社後の板挟みの重さをある程度つかめます。
板挟みの少ない立場ってある?
段取りを整えても、3者の間に立つ位置そのものがしんどいなら、立場を移す道があります。ただ、どの行き先にも調整の仕事はあります。相手と向きが変わる、と考えると選びやすくなります。
| 立場 | 主に調整する相手 | 施工管理との違い |
|---|---|---|
| 元請の施工管理(今) | 施主・設計・職人さん・協力会社 | 3者のぶつかった所が集まる |
| 発注者支援(公共工事) | 発注者の職員・受注した建設会社 | 発注者の側で、監督や検査を支える |
| CM(コンストラクション・マネジメント) | 施主・設計・施工会社 | 施主の側に立って、工程やコストを見る |
| 設計事務所の監理 | 施主・施工会社 | 図面どおりかを確かめる側に回る |
| デベロッパー・事業会社の建築担当 | 社内の事業部・設計・施工会社 | 発注する側として要望を出す |
発注者側の仕事は、施工管理の経験を「確かめる側」で使えるのが特徴です。仕事の中身や年収・残業の比べ方は発注者側の施工管理とは、移り方は発注者側の施工管理へ転職する道にまとめています。発注者支援・積算・設計も扱う相談先はRSG建設転職の使い方で紹介しています。
よくある質問
- 施主さんに現場で直接頼まれたら、断っていいの?
- 断るのではなく、その場で決めないのが基本です。「設計さんと相談して、金額と工期への影響をお伝えします」と返し、定例会議の議事録に載せます。その場で「できます」と答えると、後で設計や所長と話が食い違ったときに責任を一人で負うことになります。
- 設計がなかなか質疑に回答してくれません。どうしたらいい?
- 質疑書に回答期限と、期限を過ぎた場合に止まる作業を書いておきます。それでも遅れるなら、所長から設計の責任者へ話してもらい、定例会議の議事録にも「回答待ち」として残します。待たされた日数の記録は、工期の相談のときに役立ちます。
- 板挟みがしんどいのは、施工管理に向いてないから?
- 板挟みは、施工管理の位置にいれば誰でも受けるものです。しんどさの大きさは、決める人の線引きがある現場か、全部を担当者に任せる現場かで変わります。段取りを整えても変わらないなら、会社の体制や立場のほうを見直す時期です。
- 発注者側に移れば、文句を言われなくなる?
- なくなりはしません。発注者側にも、社内の事業部や地域の声、受注した建設会社との調整があります。ただ、決める側か確かめる側に立つので、3方向の不満を一人で受ける形とは違います。面接では、どの相手と調整する時間が長いかを聞くと、働き方の違いが分かります。
次にやること
- 今の現場の未決事項を書き出し、表を使って「決める人」と期限を横に書く
- 次に現場で頼まれごとを受けたら、その場で答えず質疑書か議事録に載せる
- 立場を変えたいなら、発注者支援・CM・設計事務所の監理の求人を1件ずつ読み比べる
セコカン転職マップ編集部
施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。



