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朝5時起きで片道2時間の現場監督の通勤はおかしい?移動時間と残業代の考え方

セコカン転職マップ編集部

朝5時起きで片道2時間の現場監督の通勤はおかしい?移動時間と残業代の考え方

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現場まで片道2時間の通勤が、それだけで違法になるわけではありません。分かれ目は、その移動が会社の指示のもとにある時間かどうかです。厚生労働省のガイドラインは、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」としています。事務所に寄って資材を積む、職人を乗せて運ぶといった移動は、残業代の対象になる可能性があります。自分の場合がどうかは、労働基準監督署か社労士に確かめてください。

現場が遠いと、朝5時に起きて電車で2時間、帰宅は22時という生活になることもあります。ここでは、移動のパターンごとの考え方と、通勤の負担で会社を選ぶときに確かめる点を順に書きます。

片道2時間の通勤って、施工管理ならみんな我慢してる?

施工管理は、勤務地が「会社」ではなく「その時の現場」になる仕事です。現場が変わるたびに通勤時間も変わり、運が悪いと片道2時間の現場が1年続くこともあります。

移動の長さは統計の労働時間には出てきませんが、建設業はもともと働く時間が長い産業です。国土交通省のまとめでは、建設業の年間の総実労働時間は1,972時間で、全産業の1,928時間より43時間長くなっています。年間の出勤日数も全産業より7日多い計算です。

出典: 国土交通省「建設業を取り巻く状況等について」(厚生労働省「毎月勤労統計調査」をもとに作成) リンク

ここに往復4時間の移動が重なると、1日の拘束はかなり長くなります。下の図は、片道2時間の現場に電車で通う日の流れを、説明用に組み立てた例です。

片道2時間の現場に通う日(説明用の例) 6時 8時 19時半 22時 移動2時間 朝礼・現場・書類(約11時間半) 移動2時間 家を出ている時間は約16時間 移動が記録に残らないと残業は少なく見える
図: 移動を除けば普通の1日でも、家を出ている時間は16時間近くになる(時刻は説明用の例)

この例でも、現場と書類の時間だけなら「よくある1日」です。問題は、移動の4時間が睡眠と家の時間から引かれていることです。体がもたない状態が続くなら、勤怠の数字より先に生活が壊れます。眠れない、朝起きられない日が続くときは、早めに医師に相談してください。

現場までの移動時間は残業にならないの?

自宅と現場の往復が、会社の指示のない通勤であれば、労働時間に数えないのが一般的な扱いです。一方で、移動の中に会社の指示による業務が入っていれば、話が変わります。

厚生労働省のガイドラインは、会社の指示で行う業務の準備や後片付け、指示があればすぐ動くよう求められている待機の時間も、労働時間に当たるとしています。この考え方を移動に当てはめて、パターンごとに確かめる点を並べました。

移動のパターン確かめる点記録しておくこと
自宅から現場へ直行・直帰途中で業務の指示や作業を求められていないか出発・到着の時刻
事務所に集合してから現場へ集合が会社の指示か、事務所で作業や積み込みがあるか集合時刻と事務所での作業内容
社用車で職人や資材を運ぶ運ぶことが会社の指示による仕事か誰・何を運んだか、時刻
移動中に電話・メールで対応すぐ応じるよう求められているか対応した時刻と内容
遠方の現場へ前日入り・出張移動日の扱いと手当が就業規則にどう書かれているか移動日の日付と時間

考え方の出典: 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 リンク

Xでは「現場まで3時間でも通勤扱いで残業代なし」という声もあります。通勤扱いが正しいかどうかは、上の表のように移動の中身で決まります。判断は実態で行われるので、会社の呼び方だけでは決まりません。迷ったら記録を持って、労働基準監督署か社労士に相談してください。

もう1つ押さえておくのが、残業の上限です。2024年4月から建設業にも、時間外労働の上限(原則月45時間・年360時間)が適用されています。移動の一部が労働時間に当たる場合は、その時間も上限の計算に入ります。上限の中身は施工管理の残業上限(2024年4月〜)の整理で書いています。

出典: 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 リンク

通勤が長くなる会社には、決まった仕組みがある

移動の長さは、運だけで決まるわけではありません。会社の受け方と人の回し方で、だいたい次の3つに分かれます。

  • 営業の範囲が広い: 本社は1か所なのに、県をまたいで工事を受けている。現場がどこになるかは受注次第
  • 事務所集合の決まりがある: 毎朝いったん事務所に集まり、社用車で現場へ向かう。始業前の移動が長くなる
  • 単身赴任・出張の線引きがあいまい: どの距離から宿泊や手当が出るかが決まっておらず、日帰りで通う前提になる

1つ目の会社では、通える現場に当たるかどうかが毎回の運になります。2つ目は、集合から現場までの移動が業務の一部になっていることがあり、前の表で確かめる対象です。3つ目は、片道2時間を超えても「通えるから通う」が続きやすい形です。遠い現場が続く場合の考え方は施工管理の長期出張がつらいときの記事や単身赴任がつらいときの記事でも書いています。

通勤で会社を選ぶなら、確かめる4つの点

求人票の「勤務地」に書かれているのは、たいてい本社か支店の住所です。実際に通う現場の範囲は、面接で聞かないと分かりません。確かめるのは次の4点です。

面接で聞く通勤の4点 1. 現場の範囲 直近1年の現場はどの市町村か 自宅から近い現場を希望できるか 2. 直行直帰 事務所に寄らず現場へ行けるか 書類は現場事務所で終わるか 3. 移動の扱い 社用車の運転や送迎は勤務か ガソリン代・高速代は誰が払うか 4. 遠方の基準 何km・何時間から宿泊になるか 出張手当と移動日の扱い
図: 勤務地欄だけでは分からない4点を、面接で数字と実例で聞く

移動の長さは、年収の比較にも入れておきます。たとえば往復4時間の通勤が月20日あれば、移動だけで月80時間です。残業の上限の原則が月45時間なので、それより長い時間を毎月、無給で使っている計算になります。年収が少し上がる会社でも通勤が延びるなら、時間あたりで見ると下がることがあります。

1の現場の範囲は、「直近1年に担当した現場の場所を3つ教えてください」と聞くと答えが具体的になります。県をまたぐ現場が多い会社か、市内の現場が中心の会社かが分かります。

4の遠方の基準が決まっている会社は、通える距離の上限を会社が管理しているということです。決まりがない会社では、片道2時間を超えても日帰りが続く可能性があります。

通勤の負担を減らす転職先として、地元の現場が中心の地場の会社が候補になります。施工実績のページで、工事の場所が自宅から通える範囲にまとまっているかを先に見ておくと、面接で聞くことがしぼれます。自宅からの距離を条件に入れて求人を探すなら、建設業界に詳しい転職エージェントに「片道1時間以内の現場が中心」と最初に伝えておくと、紹介される求人がしぼられます。

今の会社のままでも、まず試せること

すぐに会社を変えられない人も、次の3つは今日から始められます。

  • 移動の記録を残す: 出発・到着の時刻、事務所での作業、送迎や積み込みをメモする。スマホの位置情報の履歴も補助になる
  • 直行直帰を申し出る: 事務所集合が毎日必要か、書類を現場事務所で終えられないかを上司に相談する
  • 次の現場の希望を伝える: 現場の割り振りが決まる前に、通勤の負担を理由に近い現場を希望しておく

家族がいる人は、移動の記録を家族とも共有しておくと、次の現場や転職の話をするときに「なぜ今のままだと無理なのか」が伝わりやすくなります。睡眠が5時間を切る日が続いていないかも、あわせて書いておきます。

記録は、会社と話すときにも、労働基準監督署や社労士に相談するときにも、そのまま材料になります。通勤手当は割増賃金の計算のもとから外せる手当なので、通勤手当が多く出ていても残業代の代わりにはなりません。

出典: 長野労働局「労働条件ハンドブック」11 割増賃金(割増賃金の基礎となる賃金) リンク

よくある質問

現場まで車で2時間、ガソリン代は自腹って普通ですか?
通勤手当やガソリン代をどう払うかは、法律で一律に決まっているものではなく、就業規則や雇用契約で決まります。まず就業規則の通勤手当と出張旅費の決まりを確かめてください。社用車での移動を指示されているのに自腹、という場合は会社に理由を聞く価値があります。
事務所に集合してから現場に行く時間は、残業代もらえますか?
集合が会社の指示で、事務所で積み込みや打ち合わせをしている場合は、労働時間に当たる可能性があります。ただ、最終的には実態で判断されます。集合時刻と作業の中身を記録して、労働基準監督署か社労士に相談してください。
通勤が遠いのを理由に転職するのは、面接で印象悪いですか?
「通勤が嫌だから」だけでは伝わりにくいので、「移動に往復4時間かかり、書類や工程の確認に使える時間が削られていた」のように、仕事への影響として話すと伝わりやすくなります。面接での話し方は施工管理の志望動機の書き方も参考にしてください。
現場が遠いときは単身赴任した方が楽ですか?
移動時間は減りますが、家族と離れる負担が増えます。宿泊の手当、帰省の旅費、赴任の期間が会社でどう決まっているかを先に確かめてから決めてください。決まりがはっきりしない会社では、赴任の期間が延びやすくなります。

次にやること

  1. 今週の出発・到着の時刻と、事務所での作業・送迎を毎日メモする
  2. 就業規則で、通勤手当・出張旅費・移動日の扱いがどう書かれているかを確かめる
  3. 求人を見るときは、面接で「直近1年の現場の場所」と「直行直帰の可否」を聞くとメモしておく

セコカン転職マップ編集部

施工管理の働き方と転職について、国土交通省・厚生労働省などの公的データと、求人票・試験団体の公表資料をもとに調べて書いています。数字には出典と年度を付けています。